矢が空気から受ける摩擦抵抗

1.レイノルズ数について

矢が空気中を移動している以上、
空気抵抗は避けられないものでしょう。
流体(この場合は空気)から受ける抵抗には
いくつかの種類がありますが、
今回は空気との粘性摩擦による抵抗について
考察してみようと思います。

粘性摩擦抵抗を考えるときに重要なパラメーターとして、
レイノルズ数が挙げられます。
物体の形が相似であれば、
粘性摩擦抵抗はレイノルズ数によって支配されます。
ここでは矢の形状が流線型と仮定して話を進めます。

2.レイノルズ数から摩擦抵抗の計算

レイノルズ数(以下、Rn)は以下の式で計算できます。

=物体の長さ(m)    =物体の速度(m/s)
ν=動粘性係数(u/s)(粘性係数μを密度ρで割った値)


このRnから、下のシェンヘル(Schoenherr)の式を、

下のように変形させると、

粘性摩擦抵抗係数Cfを近似的に求めることができます。

Cfが求められたなら、これを下の式に代入すれば、
粘性摩擦抵抗Rfを求めることができます。

=代表面積(u)(ここでは矢の表面積)
ρ=密度(kg/mの3乗)(ここでは空気の密度)

3.実際の数値計算

それではこれらのパラメーターに、実際の値を代入して
矢の粘性摩擦抵抗を計算してみましょう。
まず打ち出す矢の設定を決めます。
矢の長さ0.71(m)=28(inches)
矢の直径0.005(m)
矢の表面積0.0000557(u)
矢の質量0.025(kg)
矢の速度70(m/s)
空気の密度ρ1.247(kg/mの3乗)
空気の動粘性係数ν0.00001421(u/s)

(矢の設定の基準は特にありません。
意見があればこちらへ)

まずレイノルズ数を求めます。
Rn=0.71×70÷0.00001421
=3500000


次にこの値からCfを求めます。
logRnの2.6乗を計算すると132.5となるので、
Cf=0.463÷132.5=0.0035

これをRfの式に代入すると、
Rf=0.0035×1.247
×0.0000557×70×70÷2
=0.119(N)


よって飛行中に矢にかかる粘性摩擦係数は
約0.119Nになります。

これでは理解しにくいので、比較対象を挙げます。
矢の重さを0.025(kg)としているので、
これにかかる重力がF=Mgより
F=0.0025×9.8=0.245(N)となります。
これは粘性摩擦係数の約2倍です。
つまり・・

矢が空気から受ける摩擦力は
矢の重さの大体半分


ということになります。

4.最後に

今回の計算は矢が流線型であり、
羽が無い状態(ベアシャフト)という仮定の上で行われました。
実際は先端で空気の層の
剥離が起こっている
可能性がありますし、
矢の形状がシェンヘルの式を適用できるかも不明です。
また、空気から受ける抵抗は粘性摩擦抵抗だけではありません
羽を付けると更に話が複雑になります。
ただ、何かの計算の目安になる可能性はあるし、
何より興味深いですからね。


計算の間違いや意見がございましたら是非連絡お願いします。
4649!





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