PTSDについて
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは「強烈な外傷体験をきっかけ」に発症する精神障害です。
心的外傷はトラウマと同じ意味で、小さい頃などに受けた心の傷が
後々までに後遺症のように正常の心理判断を邪魔するような体験を伴った心の傷です。


■PTSDの構成要因

ショックな出来事があったとしても、その人にとって「強烈な外傷」になるかは人それぞれです。
その出来事に遭遇した全ての人が同じ反応を起こすわけではありません。
PTSDは事件と被害者と心的外傷が絡み合って発症します。

【ストレッサー】
個人のストレスに対する対処能力を破壊的に及ぼす外的力として、
災害・戦闘・一般的災難・その他の特殊なものがあります。

@災害
これは自然災害と人為災害とに分けられます。
自然災害…大地震・火山噴火・ハリケーン・竜巻など。
人為災害…原発事故・ビル破壊・火災・船舶事故など。

A戦闘
戦闘員だけではなく、後方支援の軍役従事者も砲弾などによる生命の脅威、衝撃、
戦友の死、死体の目撃、その他暴行などにあいやすく、ストレスになりえます。

B一般的災難
日常生活のなかで突然に襲われる災難。
代表的なものが強姦です。殺傷事件などの犯罪・自動車事故などもこれにあたります。
危険に身をさらす職業(警察官、消防士など)もPTSDの有力な危険因子です。

Cその他の特殊なもの
人質や拷問など。ユダヤ人大虐殺・捕虜収容所・難民収容所での拘束・恐怖・
飢えの体験・村八分などが含まれます。

【被害者】
ストレッサーの直接の被害者だけでなく、
現場に居合わせた目撃者も同じく心的外傷を体験していると言われています。
また、被害者の家族や親しい友人も重要なPTSDの候補者です。

【心的外傷(トラウマ)】
対処能力を超えた心的なものが歪んだり破壊されたときの感情として、恐怖感と無力感と戦慄があります。
これらの感情への影響は、実際に客観的に見える身体的な外傷だけでなく、
状況の不可抗力性、その後の予測できなさ、生命への脅威の強さなどによって決まって きます。
また、これらが時間を超えて心的外傷を保ち続ける重要な要素となっています。
外傷の性質を分類すると
『一過性か反復性か』
災害や戦争のようなものは強烈な一過性の外傷です。
幼児期の慢性的な虐待など、反復性のものは一過性のと違う精神異常が見られるようになります。

『性的か破壊的か』
性的な場合、苦痛に加えて自らの欲動興奮的な側面を否定できないことが被害者に罪悪感をもたらします。

『人為的か偶発的か』

悪意のある人為的な外傷は不信や怨念を残し、災害その他の偶発的な事故は恐怖感を残し、
さらに別離は悲哀感を残しやすいです。
人為的な外傷のほうが重篤な傷跡を残しやすいです。

さらに、子供の頃から反復慢性的に外傷が蓄積されていき、
それに悪意のある人為的なストレッサーがあるとPTSDとは違って、
解離、自傷傾向、身体症状、慢性的抑うつなどのいろいろな精神症状を見せ、
不安定な関係と強い社会適応の困難がみられてきます。


■PTSDの症状

PTSDの症状は「侵入性反応」と「感情鈍麻性反応」の二つの症状にまとめられています。

【侵入性反応】
「何かやっていなくてはいられない」という過剰にたかぶった状態で、
トラウマとなった事件の後は興奮が続いてよく眠れません。
アルコール乱用や薬物乱用など様々な嗜癖にはまってしまう人もいます。
この状態の時「怒りの爆発」も見られます。また、驚愕反応やパニックがあります。
戦争から帰還した人がヘリコプターの音を聞いただけでその場から逃げ出そうとしたり、
エレベーターの中でレイプされた経験を持つ女性が、エレベーターの前で立ちすくんだり
などという形で現れます。

また、とても嫌な・思い出したくない記憶が、何も関係のない場面
(例えば静かに読書している時など)に、フッと意識の中に侵入してくるような
「侵入性回想」が起こることもあります。夢に出てくると、悪夢になります。
そうした回想が、事件当時に感じた恐怖や冷や汗などの生理反応と一緒になって、
そのままよみがえってきて体験されることを「フラッシュ・バック」と言います。
フラッシュ・バックに入ると、冷や汗・寒気・鳥肌などの生理反応が
逆に当時の記憶をまざまざと再現させ、生々しくその状況に引き込まれていきます。
こんなことが何度も何度も繰り返されたら、まともに生きていけなくなります。

もっと困るのは、「トラウマの再演」や「再演技化」と呼ばれるものです。
演じるというと、故意にやっているようですが、これは無意識に演じてしまうものです。
例えば、性的虐待を受けた人が、もう一度性被害に遭うような状況に持って行ってしまう、などです。
性的虐待を受けた人が売春に走る場合が多いというのも、このことで説明されます。
また、戦争から帰還した人が、帰国後に殺人を繰り返したり、
他国の軍隊に雇われて戦争に参加し続けたりするという場合もあります。
自分ではコントロールできなかった状況での心の傷を、自分を同じ状況に置くことによって再現し、
それによってその状況を自分の意思と力で今度こそ支配しようとする試みと解釈されています。

【感情鈍麻性反応】
もうひとつの症状は感情鈍麻性反応ですが、むしろこちらの方が重大と言えるかも知れません。
例えば、被害にあった人が、それから五年後にも無気力で憂鬱であったとします。
しかし、不安やパニック・悪夢などは最初の半年で治まってしまっていたとすると、
影響はその半年のうちに収まっていて、後に残った無気力や憂鬱はその人のもともとの病気であった
と解釈されてしまいがちです。
しかし、侵入性反応がなくなり、表面上は平穏で落ち着いているように見えたとしても、
事件以来、深刻な人格変化が生じているという場合があるのです。
震えたり、汗をかいたり、フラッシュバックが起こったりという派手な症状は消えても、
友人との関係をうっとうしく感じたり、配偶者や恋人との関係も以前ほど親密でなくなったり
人間関係において、深いところでの情緒的な関係を避けてしまって、
ひとりになりがちになるということがよく見られます。

人生なんて面白い事やいい事なんてない、こんな思いをしてまで生きなければならないのかと思い、
自分の要求や感情を人に言えなくなったり、心身症のように常に身体が不調だったり、
身体的にも感覚が鈍ったり麻痺したりすることがあります。



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