神経症とは

神経症とは、「主として心因性に起きる心身の機能障害」と定義されます。
「主として」とあるのは、心理的要因以外にも、その人の素質や性格も関与してくるからです。
「機能障害」とは、身体の形が変わってしまうような形態的変化のある器質障害ではなく
元に戻ることのできる病態という意味です。
神経症は、表面にでてくる症状(前景症状)によってさらにタイプが分けられます。
不安が前景に立つ「不安障害」、身体症状が前景に立つ「身体表現性障害」
離人症状が前景に立つ「解離性障害」などです。
また、精神病(特に精神分裂病)でないことを確認することも必要となってきます。

神経症の発生要因には、個体側の要因(性格や素質)と
環境側の要因(ストレス状況)の二つを考えないといけません。
神経症は状況次第では、誰にでも起こりうる病気なので
その点から考えるとどんな性格の持ち主でも生ずると言えます。
ただ、神経症になりやすい性格としては

(1)神経質傾向
大人に見られる普通の神経症によく出現します。
この性格傾向は親からの体質的・遺伝的に受け継がれる部分もあれば、幼小児期の親のしつけや
幼稚園・小学校の先生の指導など、環境的なものから形成される部分もあります。
この神経質な面がよい方向に発揮されると、社会では模範的な人物になります。
取り越し苦労が多く、石橋を叩いても渡らないほど慎重で、失敗も少ないです。
しかし、悪い面がでると、自己中心的で、他人に対する配慮が欠け
愚痴っぽいので周囲の人から敬遠されがちになります。
このような人が神経症になると、非建設的な生活を送るようになり、性格のよい面は薄れ
悪い面ばかりが表面にでます。うぬぼれが強く、見栄っ張りな性格は劣等感の塊と化します。

(2)ヒステリー性格
子供の神経症はヒステリーの形をとる事が多く、女性も男性に比べてヒステリー傾向が強いです。
女性の方に多いのは、物事を解決するのに男性は理屈や理性で解決しようとするのに対して
女性は感情的に対処しようとする傾向が強いからです。
ヒステリー性格の特徴は、わがまま、強い依存心、虚栄心、見栄っ張り、自己中心的
極度の負けず嫌い、虚言傾向、短絡的などです。
なんだかとても悪い性格のように見えますが、もちろんいい面もあります。
負けず嫌いで虚栄心が強いので、勉強や仕事に打ち込めば立派な成績を上げます。

神経症になりやすい性格を簡単に言うと偏った性格と言えます。

環境側の要因としては、家庭、学校、職場などにおける問題が考えられます。
家庭の問題としては、夫婦、親子、兄弟、嫁姑の問題があります。
学生の悩みには、自分の能力や容姿に関する劣等感、受験勉強、友人関係などについてです。
職場では、対人関係、仕事の内容、配置転換、転勤などです。

これらの個体側の準備状態に心因が加わって生じるのが神経症です。
そして、その根底には不安というものがあります。


■神経症とうつ病の違い

神経症 うつ病
顔つき 訴えが多いが、元気がよい 言葉は少ないがげんなりしている
食欲・体重 食欲がないという人もいるが、
体重は余り減少しない
食欲が全くなく一ヶ月に10〜15s体重減少
不眠 不眠を訴えない人も多いが、
不眠を訴える人は入眠困難症
不眠は必発症状。
早朝覚醒型の不眠が多い。
気分の日内変動 日内変動はなく、いつも訴えが多い 気分は良かったり悪かったりを繰り返す。
朝方具合が悪く、夕方持ち直すことが多い
自殺 自殺を口にすることはあるが、
実行には移さない
しばしば自殺を企てる
治療 薬よりも精神療法が効果的 抗うつ剤がよく効く


■統合失調症と神経症との違い

神経症では、現実を正しく検討する能力は保たれていて、
自分が病気であると認識しています(病識があります)。
統合失調症ではそれらが障害され、幻覚や妄想が出現することがあります。
神経症では原則として幻覚や妄想が出現することはありません。
神経症では話を聞いていても感情的疎通性が良好で、感情を移入することも可能ですが、
統合失調症ではそれらが障害され、話の内容を理解する事が不可能なときがあります。
神経症では、なぜそうなったかを理解することができ、人格は障害されません。
統合失調症では人格の障害が見られます。
統合失調症と比べ、神経症では、
・幻覚や妄想はありません。
・意志の疎通が可能です。
・病識があります。
・現実を正しく理解することができ、それについて考えることができます。
・人格の障害はありません。
・予後は比較的良いです。



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