身体表現性障害
心気症/転換性障害/身体化障害/身体醜形障害/疼痛性障害

■身体表現性障害とは

身体表現性障害は十分に医学的な検査を行っても原因が分からない症状がでるものです。
ストレスや不安、葛藤などが原因になっていることが多く、症状の訴えはとても重症感があります。
それによって社会生活などに支障をきたすものを言います。
身体表現性障害には大きく5つのものがあります。
・心気症…患者自身が何か特別・重大(癌、エイズなど)な病にかかっていると思い込むのが特徴。
・転換性障害…1つか2つの神経学的な症状(声が出ない、歩けない)などが特徴。
・身体化障害…色々な身体の症状(腰痛、腹痛など)を訴えることが特徴。
・身体醜形障害…体の一部に欠陥があるという誤った考えにより人前にでられなくなることが特徴。
・疼痛性障害…心理的な要因で出現したり悪化したりする痛みを伴うことを特徴とします。
身体性障害で問題となってくるのはうつ病との鑑別です。
うつ病がないかどうかを調べることも必要となってきます。
また他の精神障害と関連があることが多いので、注意する必要があります。

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■心気症

ささいな体の調子の崩れから、自分は大病にかかったと思いこみ、
病院で色々検査して以上が見あたらなくても安心できなず、執拗に訴えるものです。
患者にとってそのとらわれが大きな苦悩の原因となり、
個人的役割、社会生活、職業上に影響をでてくるものを言います。
一般内科にかかった4〜6%は心気症であったという報告もあります。

@症状
まだ発見されていない重篤な病気にかかっていて、そうではないと思うことができません。
医学生が講義や実習で見た症例を自分にもあるのではないかと不安になったり、
何かの本を読んで自分にあてはまることがあったり、近親者が病気になり死亡したりすると、
それと同じ変調を感じたりすることがあります。
訴えで多い自覚症状としては、頭が重い、頭痛、不眠、めまい、肩こり、耳鳴り、腹痛、
食欲不振、性欲減退、腰痛、手足のしびれ、体の不調、集中力の減退の度ですが、
医学的、他覚的には特別な所見は見つかりません。
「自分はガンではないか」と思うことが多く、納得いかない場合は
いわゆる「ドクターショッピング」に走ることもあります。
このように患者さんの確信は強いものがありますが、妄想ほど固着はしていません。
心気症は抑うつや不安症状と結びつくことが多いです。
診断基準は
・腹痛、頭痛などのささいな身体の不調を誤って「ガンではないか」など重病化し、
それに対する恐怖やそのかんがえが頭から離れない。
・そのとらわれは医学的な評価を受けても変わることなく離れない。
・患者の確信は妄想のように頑固さはない(ガンではないかもと思うこともある)、
 醜形恐怖のように外見についての心配だけではない。
・強い確信のために強い苦痛を感じたり、社会的、職業的などで障害がでている。
・その状態が6ヶ月以上続いている。

A原因
心気症になりやすい人は身体的な不快感について、耐性が普通の人より低いと言われています。
例)普通の人がお腹を押されていると感じるものを、腹痛と感じてしまう
心気症状によってうち勝ちがたい困難な問題に直面している人が、疾病役割を認めてもらいたい
という心の現れでもあると言われています。
疾病という逃げ道を用意して、有害な責任から逃れ、
受け入れたくない難題を後回しにすることを許されるのではないかと考えるからです。
また、他の精神障害の変形の現れであるという考えもあります。
心気症の人の80%はうつ病か不安障害を持っています。
さらに心気症になりやすい性格としては、いわゆる神経質性格があてはまります。
心気症の症状は、孤独や挫折、失恋などのストレスなどによって引き起こされるケースが多く、
本当の不安は別にあるのですが、その不安が体の不安に置き換えられたものと考えることができます。

B経過と治療
長い経過をとりますが、半分以上の方はよくなります。
自分が納得いかないと、ドクターショッピングなどの走りますが、
そうすることは慢性化する原因となります。
一般的に精神科的治療に抵抗を示すことが多いようです。
原因なるストレスの縮小と慢性疾患に対する対処法を教育していく形になります。
薬物療法は不安障害やうつ病などがあるときなどには行われます。
そうすることで心気症状を緩和することができるようです。

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■転換性障害

いわゆるヒステリーのことですが、現在ではヒステリーという言葉は使われません。
昔ヒステリーと言われていた言葉には3つの意味があり、
ヒステリー性格、ヒステリー症状、ヒステリー神経症と言うものです。
ヒステリー性格とは
小児的、未熟的、感情不安的、非暗示的、自己中心的、演劇的、誇張的、自己顕示的
などの性格をさすものです。大まかにまとめると、
・未熟性(幼稚っぽい)
・感情易変性(感情が変わりやすい)
・自己顕示性(目立ちたがり屋)
です。
ヒステリー症状を疑う特徴としては、症状に象徴的な意味があったり、
疾病利得、疾病への逃避、満ち足りた無関心などの存在があります。
疾病利得とは、病気になることで特をすることで、これには2つのタイプがあります。
一つ目は、病気になることで、自分の内的な葛藤を意識の外に置くことで、
しばらくの期間ストレスから逃げられる特です。
もう一つは、病気になることで他人からの同情や援助、愛情を受けられると言うものです。
満ち足りた無関心とは、疾病にかかっていると言うことに満足し、
それほど悲観的であったり、ショックの様子が薄いと言うことです。
さらに、ヒステリー症状は仮病との鑑別が難しくなってきます。
ヒステリー症状の訴えは、わざとらしくオーバーで、他人が見ていないと症状が消失したりします。

@症状
最もよく見られる症状として、動けなくなる、手が動かない、声が出ないなどの「運動麻痺」
そして、手足や顔の感覚がなくなるという「感覚麻痺」があります。
・感覚症状…無感覚症と知覚異常がよく見られます。特に手足で見られることが多く、
手や足が靴下や手袋をしたような範囲で感覚がおかしくなったり、
きちっと体の半分だけがおかしくなったりします。(神経学的にはそういうことにはなりません)
また、特殊な感覚器官、つまり、眼や耳に症状が出ることがあります。
眼だと、トンネルのように真ん中が見えなかったり、半分が見えないと患者さんは訴えます。
その割に、傷を負ったり、転んだりもせずにきびきび歩けるのは不思議です。
・運動症状…異常な動き、歩行障害、筋力低下、麻痺などです。
大きな振戦や筋肉のけいれん、チックなどがあらわれます。
歩行障害では立てなかったり歩けなかったりします。こういった例でも滅多に転倒しません。

診断基準は以下の通りとなっています。
・神経疾患や身体疾患を疑うような症状が一つ以上存在する。
・症状の発症に強い葛藤やストレスが関係している。
・これらの症状は意図的に作られたものではない。
・色々調べてみても、十分に説明が付かない。
・これらの症状によって社会的、職業的などの障害を起こしている。
・他の疾患が見あたらない。

A原因 先に書いたように、内的な葛藤の抑圧によるもので、不安が身体症状へと転換したものです。
転換性障害の症状は葛藤と象徴的な関係を持っています。
患者は症状によって自分に特別な配慮と治療を必要としているのだと訴えることができます。

B経過と治療
およそ90〜100%の人は初発症状から2、3日〜1ヶ月以内に解決されることが多いです。
75%の人は転換性障害を繰り返すことはなく、25%はストレスのある時期にまた繰り返します。
ほとんどの場合は自然に治りますが、支持的療法や行動療法によって早く治すことが可能です。
ストレスが原因だとか、心の病気だと患者に告げることで症状が悪化したり、
治療に抵抗性を示すこともあります。抗不安薬なども有効です。

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■身体化障害

歴史的には、これもヒステリーの一種類です。
30歳以前に発症し、何年にもわたって持続する様々な身体症状を持っているもので、
痛み、胃腸、性的、神経学的所見を思わせる症状の組み合わせによって特徴づけられます。

@症状 基本的な特徴は症状が何度も繰り返され、多彩で、長期に及びます。
病歴をきくと状況的で、あいまいで不明確、一貫せず、まとまっていないことが多いようです。
症状を訴えるときは、劇的かつ感情的、大げさで、生き生きとした多様な言葉で訴えます。
診断基準は ・30歳未満に始まった多数の身体的訴えの病歴で、数年間にわたって持続しており、
治療を求め、社会的職業的に障害を生じているもの。
・4つの疼痛症状…少なくとも4つの異なった部位または機能に関連した痛みを持っていること。
(頭部、腹部、背部、関節、手足、胸部、直腸、月経時、性交時、排尿時)
・2つの胃腸症状…疼痛意外に少なくとも2つの胃腸症状の病歴を持っている。
(嘔気、お腹がはる、妊娠時以外の嘔吐、下痢、数種類の食物への嫌悪)
・性的症状(これはなくてもよい)…疼痛以外に性的または生殖器症状の病歴を持っている。
(性的無関心、勃起または射精機能不全、月経不順、月経過多、妊娠中を通じての嘔吐)
・偽神経学的症状…疼痛に限らず神経学的疾患を思わせる症状または欠損の病歴を持っている。
(うまく歩けない、フラフラする、麻痺、脱力、嚥下困難、失声、尿閉、幻覚、触覚または疼痛の消失、
ものが二重に見える、見えない、聞こえない、けいれん、意識消失)
・これらの症状がどの病気にもあてはまらず、薬物乱用などの結果ではない。
・予想される社会的、職業的障害よりも遙かにひどく障害を受けている。
・症状が意図的に作られたり、ねつ造されたものではない。
心理的な闇や対人問題があることもあり、不安や抑うつがよく見られます。

A原因
身体化障害で見られる特徴的な性格としては、依存的で自己中心的です。
賞賛や賛美を渇望しています。
例えば、女性の場合露出度の高い服装をしたり、周りを操作したりします。
転換性障害と同様にストレスや不安が、身体症状としてでてきたものと考えられます。
身体化障害の近くに、他の精神障害の存在があります。
うつ病や不安障害、統合失調症などが特にそうです。
心気症はある特定の疾患にかかっていると思っているのに対して、
身体化障害では多種多様に及びます。
転換性障害の場合は、神経学的症状が1つか2つにとどまります。
疼痛障害の場合は、疼痛症状の1つか2つにとどまります。

B経過と治療
完全によくなることは珍しいです。
治療の目的は、「症状はあっても、社会生活が困らないようにする」程度になります。
治療に対しては、本人がストレスから来るものと自覚しないために抵抗することが多いです。
徐々にストレスがあると認識すると共にそのストレスを克服するようにしていきます。
抗うつ薬や抗不安薬なども使います。

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■身体醜形障害

想像上や誇張された身体的外見の欠陥へのとらわれです。
自分の顔や体が醜い、みっともないと思い、外出できないなど社会生活に及ぼすようなものです。
結果的に不登校や出社拒否などの原因にもなりえます。一種の強迫性障害でもあります。

@症状
最も見られる部分は顔の欠点、特に特別な部分(鼻など)に向けられることが多いようです。
顔や頭の想像上の欠陥、小さな欠陥。鼻、目、瞼、眉毛、耳、口、顎、頬などにもよく見られます。
しかも、それは他の人から見たら気にならないようなことが多いようです。
周りの人がいくら否定しても考えを改めることができません。一種の強迫観念状態なのです。
頻繁に鏡などで自分の顔や身体を見ないと気が済まない事もあり、
これは強迫行動と言えるでしょう。
身体のいくつかの部分を同時にとらわれるようなこともあれば、特定の時もあります。
自分の心配を恥ずかしく思っているために、自分の欠陥を詳しく表現するのを避け、
そのかわりに自分の全体的な醜さを口にする人もいます。
この障害を持つ場合、たいてい自分が想像している歪みに強い苦痛を体験しています。
そのとらわれを「ひどく苦痛だ」「拷問のようだ」などと表現することが多く、
ほとんどの人が自分のとらわれを制御するのが困難であることが自分でわかっています。
また、それに対してまったく抵抗しようとしません。
その結果、1日に何時間も自分の欠陥について考えるようになり、生活の中心となっていくのです。
そして、最大の問題点は気になるあまり、極端に社会的に孤立するようになることがあるのです。
人に見られる可能性のない夜にだけ家を出、家に閉じこもりきりになったりするようになります。
多くの場合で、学校を辞めたり、仕事を辞めたりする事が多いようです。
また、ほとんど友達との交友を避け、夫婦間では離婚問題にまでなったりします。
そして、入退院の繰り返し、自殺念慮、自殺企図が多く、本当に自殺にまで至ることもあります。

診断基準は
・外見についての想像上の欠陥へのとらわれ、小さな身体的異常が存在する場合、
その人の心配は著しく過剰である。
・そのとらわれは、臨床的に著しく苦痛または、社会的、職業的などで障害を引き起こしている。
・そのとらわれは、他の精神疾患ではうまく説明ができない。

A原因
うつ病の併発が多いことから、セロトニンが関係しているのではないかと言われています。
人にちょっとしたことを言われたことが原因で
「自分の顔は醜い」という強迫観念を持つようになることが多いようです。
また、往々にしてそういう人はもともと対人関係に対する抵抗性が弱いようです。

B経過と治療
通常青年期に始まることが多く、症状について打ち明けることを嫌がる人が多いことから
何年も診断されないことが多いようです。
発症は、ある日突然来たり、徐々に来たりと様々です。
かなりの長期間の経過をとり、症状のない期間はほとんどなく、
症状の強さが時間と共に変動します。
セロトニンが関係していることからも、SSRIや抗うつ薬などが使われます。
心理療法としても、暴露療法や認知行動療法が試みられることが多いようです。

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■疼痛性障害

訴えが痛みである神経症です。
心理的要因、ストレスがその発症、重傷度、悪化、持続に重要な役割を果たしていると判断されます。

@症状
身体の様々な部分に痛みを訴えます。原因は精神的なものです。
詳しく、色々な検査をしてもはっきりとした結果は出てきません。
痛みの虜になっているため、不幸の根元が、その痛みにあるかのような言い方をします。
痛みさえなければ、生活はこの上なく幸せに感じるようです。
診断基準は
・ひとつ以上のところの疼痛がある。
・痛みのためにひどく苦痛を感じていたり、仕事や社会生活上で障害が出てくる。
・心理的な要因が、疼痛の原因やその深刻さ、再発などに深く関わっている。
・疼痛は本人がわざと作り出していたり、痛がっているふりをしたりしているのではない。
・この疼痛は感情障害、不安障害、その他の精神病の症状として説明が付かない。

A原因
ストレスが大きな原因です。身体を通して内的葛藤を象徴的に表現しようとします。
つまり、心からのSOSの信号のようなものです。
中には失感情症を患い、言語で内的感情状態を明確化することができないので、
身体が感情を表現する人もいます。
また、自分は罪を受けなければ、当然の報いだと確信を持っている人もいます。

B経過と治療
疼痛性障害の痛みは不意に始まり、数週間から数ヶ月のうちに強さを増してきます。
経過は慢性的で、苦痛に満ちあふれ、まったく何もできない状態となりますが、予後は様々です。
治療はストレスを軽減させる心理療法や抗うつ薬、抗不安薬などが使われることがあるようです。



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