フィリップス社製ポータブルCD

AZ6829の内部


曰く、「これしか体が受け付けません」「これ買って据え置きCDP3台中古屋送り」

「小型システムなら据え置き型不要」

 等々、数々の名文句を生み、ポータブルCDプレーヤーとしては異例の高音質を誇るのが、1992年にフィリップス社から発売されたAZ6829です。携帯可能CDプレーヤー最高峰の座はPowerCDに譲りますが、それでも「音質」の次元を超え「各楽器の表情」「ボーカリストの気持ち」を伝える力を持つ、驚異的な存在です。

 ワンポイントとしましては電池駆動がベストであること、やむを得ずACアダプターを使用する際には、電圧のみならずACアダプターの質にも注意する必要があります。フィリップスの純正、定電圧回路内蔵6Vアダプターは音質低下が少ないです。逆に、ソニー製の6Vアダプターでは中高音がうるさくなって興ざめでした。

 このたび、ご厚意で動作不良状態の本機を譲っていただいたため、レストア作業の際に撮影した内部を公開します。


T6のトルクスネジ4本を外すと、金属製の(!)裏蓋が外れます。

オレンジ色のフラットケーブルを外し、黒い絶縁シートを取り除きます。

すると、メカニズムの裏側が見えるようになります。

 ここで白矢印で示した3本のネジを外し、ネジ受けになっているメカニズム固定部品を取り外します。なお、この固定部品は2階建て構造の基板を支えていますので、手前の大きな基板と、電源プラグの奥の小さな基板双方の2階建て構造を支えるコネクターを外しておかないと取り外せません。さらに、このメカニズム固定部品に開けられたスリットにピックアップのフラットケーブルが挟み込まれていますので、急に引っ張ってはいけません。あくまでも慎重に。

 この最大の難所を無事、分解できると、このようになります。ネジ受けになっているメカニズム固定部品と、各基板の2階部分が取り除かれました。ただし、手前の大きな基板の2階部分はリモコンの赤外線センサーへの配線がありますので、配線の半田を外さないと、完全には取り除けません。この写真では、枠外におかれています。また、手前の大きな基板の2階部分はピックアップからのフラットケーブルが接続されていますので、これも基板を外す前に外さなければなりません。


 AZ6829のピックアップです。AZ6826では4カ所支持部がありますが、3カ所に削減されています。残りの一つは、切削された跡があります。(笑)これも崩壊した支持部品を段ボールに交換してあります。たまにディスクが匡体とぶつかって擦れる音がする際もありますが、一応再生中に本体を裏返しにしても正常に動作します。なお、AZ6829のメカニズム支持バネには、弱いバネ(銀色・2個)と強いバネ(黄銅色・4個)があります。弱いバネを、下の図でいうところの、右側の支持部2カ所の上部に配置するのが正解のようです。配置を誤ると、メカの位置が低くなりすぎてディスクを擦ります。


大型基板の1階部分が、AZ6829の心臓部です。

当時のフィリップスの広告では29は26と別物であるかのように謳われていましたが、DACはAZ6826と同じでした。(!)SAA7341GPです。もう一つ、驚いたことにAZ6829のマスタークロック(16.93Mhz)は何と、セラミック発信子でした。下の写真の青緑色の部品がそれです。AZ6826では、表面実装型水晶発振器が搭載されています。

 

デジタル部分では、6829が6826に勝る裏付けは全く得られませんでした。

では、アナログ部分はどうでしょうか。アナログ回路といいましても、AZ6829ではデジタルフィルターにて128倍ものオーバーサンプリングが行われているため、アナログローパスフィルターは事実上不要です。JRCのオペアンプ3個と、サンヨー製と思われる電子ボリューム・音質操作IC(LC7534)が目立つ構成部品です。このあたりは6826よりも豪華なようです。


さて、AZ6826と6829のもう一つの相違点は制御系です。大型基板の2階部分が制御系回路です。基板左端のケーブルの束は、本体最後部の電源ポート基板へとつながっています。

大型基板の2階部分の、裏蓋を開けるとすぐ見える面には、このようにサーボ系の調整用半固定ボリュームが点在しています。TG(トラッキング・ゲイン?)FG(フォーカス・ゲイン?)TS-BAL(トラッキングサーボ・バランス?)等々です。AZ6826にも基板裏側に同様の調整ボリュームが存在します。


「DUAL DAC」はどこだ?ということでトップパネルも分解しましたが、ご覧の通り制御マイコンが一個乗っているだけでした。


 

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