ダイヤモンド
第3話 カクテルナイト
 それから、一週間くらいたった日の事であった。
 いつものように、中庭でランチを食べているまいの横に真知子は座りながら言った。
「ねえ。今夜あいている?」
「ごめん。今夜はバイトなの。どこかに遊びにいくの?」
「うん。合コンやろうと思うんだけど、人数集まらなくて。ねえバイトどうにかならない?」
「悪いけどどうにもならないの。ごめんね。」
まいは、立つとツカツカ教室に入っていった。

 夜・・・まいは、バイト先のパブでピアノを弾いている。
「いらっしゃいませ。鎌田様。ようこそ。」
 店のマネージャーの声がする。
「ここ、最近のお気に入りなんだ。なかなか落ち着いた良い店だろ?」と客の声がする。
 今日は、6人連れらしい。
 まいは、ロマンチックなワルツを奏でた。
「ピアノの子変わったんだね。」
「はい。前の子は先日辞めたので。丁度良い子がいたのでスカウトしたのですよ。」
 その時、連れの女の人の声がした。
「まい・・?」
 見ると真知子だった。
 まいは、無視してピアノを弾き続ける。
「なかなか上手じゃないか。」
「そうでしょうとも。何回もピアノのコンクールで入賞している子なんですよ。」
 真知子の目はまいに釘つけだまいの指が鍵盤を踊る。
 繊細な動きだ。
「リクエストできるんですか?」
 真知子が言った。
「はい。どうぞ。」
「タイタニックのテーマをおねがいしたいのですが。」
「かしこまりました。」
 マネージャーが言う。
 まいは、マネージャーからそれを聞くと楽譜も見ずに奏でる。
 せつない旋律が店の中を流れる。
 マルガリータ、モスコミュール、サイドカー・・・カクテルを空けても、まいはずっと奏で続ける。
 夜は更けていった。
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