「昨日、びっくりしちゃった。」
真知子がまいの横に座りながら言った。
「びっくりしたって何が?」
「だって、あのパブにまいがいるんだもの。ピアノ上手だね。」
「ああ。あれ?趣味みたいなもんだよ。」
「何で音大行かなかったの?」
「行きたくなかったから。」
「何で?あんなに上手なのに。もったいないでしょ。」
「いいでしょ。別に・・・関係ないじゃん。」
まいは、そういうと立ち上がった。
「ねえ。今日も行っていいかな?」
「お好きなように。」
まいは、講義室に入っていった。
夕方、まいはピアノの前に座っている。
ピアノのふたを開けるといきなり引き出す。
「すごく、上手ですよね。まいさん。」
ボーイがマネージャーに言う。
「ああ、しかしあんなに才能あるのに何でこんなとこで弾いているんだろう。しかも、疲れ知れずだ。休みもせずに何時間も弾く。」
「そうですね。」
まいの白い手は鍵盤を踊る。
まいは夢中でピアノを弾いている。
自分が一番好きな時間だ。
夜が来て、昨日の連れと真知子が来た。
でも、まいはおかまないなしだ。
白い手はずっとずっと、鍵盤を踊っていた。 |