日時 : 2000年8月1日火曜日 午前6:10〜9:50
コース: 埼玉県/鳩山→秩父高原牧場→釜伏神社→定峰峠→白石峠→鳩山
今日は一人じゃない。いつもの仲間(ZX-9R,Inazuma)とミニツーだ。鳩山に6:00に集合なので,自宅を5:20に出た。まだ空気もひんやりとして,寝ぼけ頭をすっきりとさせてくれた。
集合の10分前に待ち合わせ場所に到着した。まだだれも来ていなかった。でも,5分ほどでイナズマが,その後1分くらいでニンジャが到着。皆,待ち合わせ時間にはうるさいようだ。少々,バイク談義をして,6:10にツーリングを開始した。
先導は私だ。県道171号線を快調に飛ばし,玉川村の五明の交差点から県道30号線に入った。小川町まで行って国道254号線にぶつかったら左折。ほんの少し国道を走って,そのまま県道11号線に入る。これが秩父高原牧場に向かういつものコースである。切通橋を渡って直ぐのコンビニで朝食を購入した。高原牧場でのんびりと食べる計画だ。お腹も空いてきたので急いでコンビニを後にし,ニ本木峠への上り口を右折して林道をひたすら登った。
今日の朝日は一段と強く,木漏れ日すら眩しいほどである。シールドに日が当たると,一面真っ白になり視界が奪われる。やはり夏は色付きのシールドが欲しくなる。この道は上の方になるととっても景色がよい。朝日と牧場,そして向こうに山々というシチュエーションで景色が悪かろうはずがない。遠くに見える家並はどこの町だろう。その町の住人は,多分朝食をとっているに違いない。
二本木峠/モーモーハウスの分岐点を左折して県道361号線をモーモーハウス方向に向かった。朝食を取るためである。モーモーハウスを少し過ぎたところの物産店の駐車場で朝食を取ることにした。近くの羊放牧場から「ブベェ〜」と泣き声が聞こえる。最初誰かが居るのかと思ってしまった。
朝食を取りながら写真の好きな二人が撮りはじめた。僕なら絶対にレンズを向けないような被写体にレンズを向けながら,あーでもないこーでもないと言い合ってシャッターを切っている。つきつめるとこうゆうことになるのかな〜と思いながら彼らの行動を眺めていた。
暫く写真撮りに夢中にさせておいて,一段落したところで出発した。朝のミニツーは忙しいのだ。元来た道を戻り,県道361号線で二本木峠を目指す。二本木峠を過ぎて直ぐに二本木青少年キャンプセンターがある。ここは外観が綺麗で,泊まりたくなるようなコテージが幾つも建っている。親子でキャンプなんていいんじゃないだろうか。ここを過ぎると間もなく皆野町に入る。
そのまままっすぐ登谷高原牧場に向かう。羊の放牧場横を通り過ぎようとすると,羊が道沿いの崖にずらりと並んで休んでいる姿が目撃された。思わずバイクを止め眺めた。羊は平原に居るものじゃなかったっけ?崖は山羊だよなぁ。
そのまま更に進むと釜伏峠に出た。さて,ここから目的の「風布川・日本水」を探す。「日本水」は,このツーリングの当初の計画にない目的地である。2,3日前,私が地図で発見し,行って見ようと提案した。皆も同意し,今日こうして目的地となった訳である。
さて,道標は幾つか立っていたので分かりやすかった。導かれて行くと,釜山神社に着いた。ここから徒歩のようだ。
バイクを止めて,荷物を持って3人とも歩き出した。途中,「登山装備着用」などと書かれた看板を見つけた。このときは何を言われているのかよく分からなかったので笑い飛ばしながら先に進んだ。
暫く緩やかに上り下りする山道をべちゃくちゃしゃべりながら進む。分かれ道は道標を探し,その指示に従って進んだ。そして地べたが泥から岩石に変わる頃,そのアップダウンは想像を絶した角度になった。
初めてさっきの看板の意味がわかった。これはロッククライミングに近い。とてもスタンディングで登れず,少なくとも片手はどこかに手がかりをつかまなければおっかなくて進めない。私はヘルメットまで持ってきてしまったので,暑い中,こんな山奥でヘルメットを被った。
さすがに休憩地点は皆野町を見下ろす絶景が広がったが,それよりこの窮地をどうするのか,つまり先に進むか,戻るかの選択で頭がいっぱいだった。「せっかくここまで来たのに戻れるか!」が全員の意見で先に進むことにした。一体後どれだけこんな所を歩かなければならないのだろう。汗にまみれながら疲労と不安に耐えていた。
恐ろしいほどの下りをえっちらえっちら下りて来るとやっと日本水の看板が出てきた。後40mだ。道はいきなり平坦になったものの,体から噴出した汗はTシャツを濡らし,Gパンも足に張りついて歩き難い。
やっとそれらしき場所に着いた。おじさんが一人ペットボトルにその名水を汲んでいる。簡単な挨拶をしながら,(このおじさん,このペットボトルを一気に持って行くのだろうか?)と考えてしまった。リック1つと手下げ袋1つに1.5リットルボトルが10本位入っている。今通ってきた険しい山道を行くおじさんの姿が想像された。すっ,すごい!
不意におじさんが,「そっちから来たの,大変だったでしょう。崖がすごいからね。」と言った。私が,「他に道があるんですか?」と聞く。「あっちから行くと楽だよ。」と私達が来たのと反対側を指差した。私,「神社のところにでるんですか?」,おじさん,「神社の少し下にでるよ。」。良いことを聞いた。帰りはあの崖を登らなくて済むんだ。
間もなくおじさんはリックと袋を持って,楽だと言っていた道の方に姿を消した。今度は我々が水を頂く。
名水は,高さ10m,幅30mほどにそそり立つ大きな岩の一番下から湧いている。辺りは木々と,岩に囲まれて涼しく,滝のように流れていた汗も5分ほどで引いてしまった。ウグイスが声高らかにさえずり,涌き水の流れる音と混じってハーモニーを作っていた。
「くぅ〜!うまい!」と誰かが叫んだ。やはり涌き水は冷たくて美味しい。ここの水はとくにピュアーな感じで,口の中で皮膚と同化して胃に流れて行くようだ。場所によっては微妙な味があったりするが,ここのは全くない。またもや,写真好きの2人があーだこーだ言いながら写真を撮りはじめた。
暫く休んでから,おじさんの言う楽な道を歩き始めた。なんてことだ,物凄く楽。なんせ舗装されている。来るときの崖は一体なんだったんだろう。後で地図を見ると,釜山神社と日本水は釜伏山を隔てて真反対に位置するが,釜山神社を出発して釜伏山を右回りするか左回りするかで道の様相が極端に違うことがわかった。我々のように苦労したい人は左回りを選択(釜山神社から歩く)すればよい。
鼻歌を歌いながら気持ちよく行くと大通りに出た。出た所で別のおじさんが「名水までどれくらいかかる?」と聞いてきたので,7,8分?と答えた。その後,そのおじさんが名水を飲んだかどうかは知らない。
大道りを釜伏神社を目指して歩く。時刻は8時を回っていて,日差しは更に激しくなっていた。舗装路に這い出たミミズの如く,全身を焼かれながら歩く。神社はなかなか現れない。日本水で会ったおじさんの言う,少し下というのは,車で少しということなんだろう。徒歩ではその10倍位に考えなければならなかった。それでもなんとか神社にたどり着いた。時間を確認すると神社を出発してから1時間ほど歩いたことになる。ちょっと名水を飲みに寄ってみよう!という考え方が間違えだったらしい。良い勉強をした。
とんだことで時間をロスしてしまった。このミニツーが終わったら仕事が待っているんだ。この後の行程は一気に突っ走ることにした。
県道361号線に戻り,県道82号線まで下りる。県道82号線を南下して県道11号線にぶつかったら左折して定峰峠に向かう。定峰峠で右折して林道を白石峠に向かう。白石峠から県道172号線で都幾川村に降りる。時間が無いにもかかわらず,しっかりとワインディングは楽しんだ。これがなきゃ朝ツーの意味がない。でも,やっぱり仕事が気になったので,そのまま一気に飛ぶように鳩山まで突っ走った。
職場には9:50に到着した。やや遅くなってしまった。本日の走行距離は87km,全然走っていない割に疲労している。名水のせいだ。所要時間は3時間40分。内,釜伏山周辺を約1時間歩き,朝食に約30分かかったので,差し引いて平均速度を算出すると,約40km/hとなった。
今回のミニツーリングで学んだことがある。地図で近くでも,実際に歩く距離が何倍にも達する場合があるということだ。この理由は,地図は立体を表現しないため,蛇腹のように折りたたまれた地形上の2点を直線距離で表示する。ところが実際に歩くのは,蛇腹の上だから大変だ。直線距離の何倍も歩かされる。後,未知の場所に行くのは一人の時の方がよいことも実感した。時間制限があるときには,しっかり下見して時間通りに行程を消化しないと上手いツーリングとは言えない。
今回は激しいワインディングを走ってドライビングテクニックを磨こうと思っていたが,磨く前に山登りで疲れてしまった。次回はどんなドラマが待っているのか楽しみである。
