| 子どもたちから おひさまを うばわないで!! |
| 朝市センター保育園 「おひさまを守る会」 |
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2003年9月19日 |
| 声 明 文 |
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私たちは、朝市センター保育園に子どもを預ける父母と同保育園で働く保育士ほか職員、卒園児の父母、保育園関係者、保育関係団体の有志で立ち上げた「朝市センター保育園おひさまを守る会」です。 今年4月、朝市センター保育園の南東側に建設予定のマンションにより、同保育園の日照が阻害されるという問題が発覚しました。私たちはこの間、子どもたちの心身の健康と発達を保障する立場から、マンション建設を計画している事業者との話し合いや仙台市への要望書の提出などをおこなってきました。子どもたちにとって、午前中のおひさまがいかに大切で、かつ必要なものであるのかについて訴え、事業者に計画の変更を求めてきました。それに対し、事業者は7月2日の段階で「改善案」なるものを提示してきましたが、子どもたちの健康と発達との関係からみても、到底受け入れることのできないものでした。 しかしながら、事業者は7月2日の「改善案」で建設を進める意向であるため、私たちとしては新たな決意でこれからの運動を進めなくてはならなくなりました。 ここに、私たちの見解と今後の運動についての私たちの考えを表明いたします。 |
| 1.これまでの経過 |
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今年4月初旬、保育園南東側の駐車場に14階建て(高さ44メートル)のマンション建設計画があることがわかりました。さっそく、事業者へ連絡し、説明を求めたところ、夏以外は、午前8時から11時頃までの間、屋上園庭になんらかの日照被害が出ることが判明しました。私たちは、日照被害が子どもたちへ及ぼす影響を危惧し、事業者に計画の変更を求めましたが、事業者は「この地域は商業地域だから、日照に対する規制はない。午前10時半から11時までの日影については理解してほしい」という態度でした。私たちは、現在と将来の子どもたちの健康と発達を保障するために「朝市センター保育園おひさまを守る会」を立ち上げました。 朝市センター保育園は、仙台市が待機児童ゼロを目指して昨年10月からスタートさせた「せんだい保育室A型」の認定を目指し、そのための改修工事にかかろうとしていました。「せんだい保育室A型」は、「商業地域にある」ことが設置の要件になっていますが、この地域はまさに、高層建築物の集中する地域であり、日照被害が起こりやすい地域です。私たちは、新制度を真に市民の子育て支援策と子どもたちによりよい保育環境を創出する制度とするためにも、仙台市に対して、今回の計画により日照被害や騒音・振動の被害をもたらすことのないよう業者に適切な指導をおこなうこと、「仙台市中高層の建築物の建築に関する指導要綱」の中に、近隣の福祉施設・教育施設に対する具体的な影響を配慮した規定を盛り込むことなどを要望しました。 私たちは、日照被害が子どもたちに及ぼす影響について研究し、事業者との話し合いの中で子どもたちにとってのおひさまの重要性、とりわけ午前中の日光の必要性を訴えてきました。そして、子どもたちの健康を守り、企業の社会的責任を果たす意味でも、屋上園庭に午前中の日照を確保できるような計画に変更するよう求めてきました。 当初、事業者は「計画の変更はない」といっていましたが、第4回目の説明会(7月2日)の場で、具体的な「改善案」が出されました。しかし、私たちが最も気にかけていた「日影による子どもへの影響」については配慮していない、との回答でした。 |
| 2.マンション建設による日照被害について |
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a.当初の計画では・・・ 朝市センター保育園が入っている朝市ビルの高さは約14メートルに対し、計画されているマンションの高さは44メートルで、その落差は30メートルにもなります。マンション建設による日影の影響は、春・秋分午前10時の時点で、保育園の屋上園庭(5階建てのビルの屋上)の78%が日影、午前11時では36%が日影となります。冬至の時期には、午前10時で81%の日影、午前11時では34%の日影になります。また、夏至では、屋上園庭にはほとんど影響しませんが、5階保育園の南側の窓は、午前11時過ぎまで日影となります。 b.7月2日提示の「改善案」では・・・ 事業者は「改善案」として、当初の計画より@建物の配置を東側に80センチよせA西側の6フロアを削り、圧迫感をなくしB1階部分の高さを37センチ下げた案を提示しました。しかし、西側の6フロアを減らした分、日影に影響のない範囲で一部15階建て(46メートル)にしました。 改善後の日影の影響は、春・秋分の午前10時で屋上園庭の63%、午前11時には日影はなくなります。冬至の午前10時は36%の日影、午前11時には7%の日影になります。しかし、壁面への日影図でみると、改善前には窓に日があたっていたのに、改善後の同じ時間には窓に影がさしているなど、改善後の方が逆に悪化している場合もあり、必ずしも「改善」されているわけではないことも判明しました。 また、保育園そのものへの日照が妨げられるほか、マンションによる日影により北側の建物からの反射光も遮られるため、大きな窓のある北側からの光も入らなくなり、保育園全体が暗くなります。 |
| 3.日照被害による子どもたちへの影響について |
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子どもたちは、朝7時半から9時半頃までの間に保育園に登園します。午前中は主に屋外でおひさまの光をあびて元気にとびまわり、午前11時半ころから昼食を食べ始め、その後、午後3時頃まで午睡(昼寝)に入ります。子どもたちが最も活発に行動する午前中に日があたらず、昼食や午睡の時間になってやっと日が当たるという状況は、一日の大半を保育園で過ごす子どもたちにとって、精神的・肉体的発達に重大な支障をきたすことが予想されます。 乳幼児にとって午前中の日照は欠くことのできない重要なものです。それは、朝の光が、周期25時間の生体時計を周期24時間の地球時間に時計あわせ(リセット)し、生体リズムを調節するのに大切な役割を果たしているからです。この生体リズムが乱れると、老化防止や抗がん作用のあるホルモンの分泌が乱れたり、慢性的な時差ぼけ状態をもたらすといわれています。 乳幼児は、遊びを中心とした主活動において、人間としてのさまざまな能力を培っていきますが、一日のうちで午前9時から10時頃が最も活動に適しているという学説もあります。それは、活動や学習力を充実させるホルモンやエネルギー代謝を高めるホルモンからも、また脳や体温との関係でも、この時間帯が、課題を設定し、近い年齢集団で積極的に生き生きと活動するには最も適していると考えられるからです。 また、乳幼児の身体的な発育発達には運動は不可欠で、動的な外遊びは欠かせないものですが、子どもたちが意欲的に外に出て遊ぶには、午前9時から10時頃に地表に日があたり、地表近くの温度が上昇することが大切です。子どもたちは大人よりも地表面に近く、特に年齢の低い子はしゃがんで遊んだりするためです。 これらのことは、午前中、とりわけ午前9時から10時にかけての日照が、いかに子どもたちの成長、発達にとって重要かを示しています。 |
| 4.おひさま確保のための要望と事業者からの回答 |
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以上の理由から、私たちは7月2日の「改善案」に対して、「園庭部分の少なくとも半分以上、および保育園ホールへの午前9時からの日照確保のために、建物位置、形状、高さについての設計見直しを、あらゆるケースを排除しないで考えて」ほしいと、7月28日に文書にて要望しました。 事業者からは8月5日、次のような回答が届きました。 1)保育園からの要望に基づき、午前9時からの日照確保のために数々のケース・スタディをおこない、保育園への日照確保のためには、高さよりも幅・位置であることを再認識したこと。その結論に基づき、建物の位置を諸法規制の範囲ぎりぎりまで東に移動し、1フロアー2戸の25階建ての形状にするという方針で検討をおこなった。 2)検討の結果、保育園への日影時間はほとんど改善できなかった。 3)この案を実際に計画すると、高さ75メートルのいわゆる“ペンシルビル”形状となり構造的に不安定な建物となるほか、建築コストが大幅に増額となる、建築工事期間が約1年間延び、監督官庁への許認可も特殊なものとなるなど、大きなデメリットがあり、現実性のない計画となること。 4)結論として、「貴保育園への日影の影響改善を大命題とさせて頂き、更なる変更案を検討いたしましたが、(中略)貴保育園への影響を改善することは困難」であったため、「先回の変更案で事業を進めさせて頂きた」いこと。 5)その代わりに、現在おこなっている保育園の改修計画に何らかの協力をする用意があること、マンションの屋上に「展望台」を設置し、子どもたちの活動の場所として提供することの2点の提案がありました。 |
| 5.おひさまに替わる新たな要望 |
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私たちはこの回答について検討しました。日照を確保するには、@マンション建設をさせないA不安定な形状の、しかもコストを無視したマンションを建てるよう要求する、のどちらかを選択せざるを得ないことになります。おひさまは何ものにもかえがたいものであるという認識にかわりはありません。しかし、現段階で、どうしてもおひさまを確保することが困難ならば、本物のおひさまに替わるなにかで、子どもたちによい環境を与えることはできないのか、子どもたちの将来の発達を保障するために何ができるのか、何が必要なのかを考えました。 そして、8月28日の説明会の場で、事業者に対し、次のような要望を提案するに至りました。 @太陽光採光システム A融雪のための電気温水器 → その後、より効果の期待できる「ロードヒーティングシステム(電気利用融雪システム)」に変更 Bマンションのサンルーム等の利用 C屋上園庭の日光が遮られる期間、頻繁に散歩にでるための安全対策費 など、合計13項目 現在、子どもたちは、初夏になると朝からプールに水を汲み、それがおひさまの熱であたためられた頃、水遊びをしています。冬には、屋上が凍ったり、雪が積もったりもしますが、朝早くから日があたれば、子どもたちが遊びだす頃には安全に遊べるようになります。また、なによりもおひさまは、子どもたちに(大人にも)活力を与えてくれます。 今回のマンション建設計画がなければ、子どもたちはこのおひさまからの恩恵を受け続けることができたことを思えば、私たちの要望は決して高すぎるということはなく、むしろ、このくらいのことはしてあげなければ、という必須条件と考えます。 これらの要望内容については、社内で検討していただき、文書にて回答していただくこと、必要であれば説明会を開いていただくことを確認しました。 |
| 6.これまでの「地域で子育て」を、さらにもう一歩すすめて |
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a.朝市センター保育園のこれまで歩んできた道 朝市センター保育園は、設立以来十六年間、仙台駅前という保育環境としては制約の多い都市の中心部で、ビルの5階という場所ではありますが、よりよい保育を子どもたちにという一心で、限られた自然を最大限に活用し、さまざまな努力と工夫をしながら、子どもたちを健やかにのびのびと育ててきました。 また、「朝市」という場所は、現代社会に不足しがちな人と人とのふれあいがあり、「市場」独特のいきいきと活力に満ちた、まさに生命力あふれる場所です。子どもたちは朝の登園時や散歩の際、市場の方々からの声がけで元気をもらい、また子どもたちの元気な姿に市場の方々や買物客も元気になるという、まさに「地域で子育て」を計らずも実践しています。 ここに、朝市センター保育園が、「同園は…(中略)一見、子育てにはふさわしくない。しかし、『環境の良さ』を理由に申し込みは絶えない」(2002年9月6日「河北新報夕刊」)と、評され、現在まで続いている理由の一つでもあると考えています。 b.同保育園がこれから歩む道 私たちは、この「地域で子育て」をさらに近隣住民にも広げ、具体的にはマンション住民とも協力協調し、子育てと子育て支援を実践していきたいと、先の要望の最後に、次の提案をおこないました。 <朝市センター保育園からの提案> 地域住民とのコミュニケーションおよび地域の子育て支援として、マンション住民とも協力・協調していきたいと考えており、以下のような取り組みを考案中である。貴社およびマンション住民にも協力をお願いしたい。 a.保育園の子育て支援事業として、日を決めて地域の子どもに園を開放し、保護者の支援を行う。 b.地域の高齢者を園に招き、子どもたちとの交流の場を設ける。(昔の遊びを教えてもらう、郷里の伝統を伝えるなど) c.保育園がおこなっている行事にお誘いする。(夏まつり、餅つき会、ビアパーティー、バザーなど) d.地域環境をよくする活動を協力しておこなう。(地域の清掃活動、バリアフリー化、花を植える活動など) |
| 7.今後の取り組み |
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私たちは、「地域での子育て」を含め、保育環境と子育て支援等について、その分野の研究者や市民の方の意見を広く取り入れて参考にするために、シンポジウムを開く計画です。 その第1回目を以下の日程と内容でおこないます。 日 時 9月28日(日) 13:30〜15:30 場 所 仙台弁護士会館 4階 テーマ 「子どもを育てる心のおひさま 〜都市型地域での子育てを考える」 内 容 ○地域コミュニティーの中で子どもを育てる ○「子どもを育てる地域の力」(研究者の立場から) など |
| 8.最後に |
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今回、おひさまに替わるものとして、先に述べたような要望を提案しましたが、事業者側の対応いかんによっては、法的手段に打ってでることも視野に入れております。しかし、これはあくまでも最後の手段であって、なるべく話し合いでの解決を期待しております。 仙台市では約12年前、支倉保育所の日照問題が発生しました。1992年6月26日、仙台地裁は支倉保育所に隣接する土地における建物の7階以上の部分の建築工事を差し止める決定を出しました。決定は、「本件保育所は、仙台市の設置する保育所であって、仙台市は、乳児及び幼児の保護者とともに、これらの者の心身ともに健やかに育成する責任を負うのであり(児童福祉法2条)、児童の健全な育成は国民全ての義務である(同法1条1項)から、本件保育所は、広く公共的な性格を有する施設というべきであり、その施設環境の保全については、そこに通所する債権者ら児童やその親権者の立場のほかに、公共の観点からも考慮する必要がある」と述べています。 朝市センター保育園は仙台市が設置する保育所ではありませんが、保育所自体の性格は、上記の決定の趣旨と共通するものですから、仙台市が一定の公共的な責任を自覚し、今後もその責務を果たしていただくことを、切にお願いします。 私たち、「朝市センター保育園おひさまを守る会」は、いま保育園に通う子どもたちはもちろん、将来この保育園に通うであろう未来の子どもたちによりよい保育環境を与えてあげられるよう、最大限の努力をしていくつもりです。 また、同保育園の子どもたちだけでなく、仙台市内において、今後、第3の支倉保育所(または第2の朝市センター保育園)があらわれないことを願っています。そのためにも、私たちは、上記のシンポジウムを成功させ、地域だけにとどまらず、社会全体で子どもを育てることの大切さと必要性を、広く市民の中にひろめていきたいと思います。そして、そのことにより、社会の一員である企業がその社会的責任を果たし、子育てや地域コミュニティーを市民とともにつくっていくことにつながることを大いに期待しています。 |