〔主 訴〕発熱、右胸痛![]()
〔既往歴〕3歳→気管支喘息、6歳→肺炎、11歳→過敏性腸炎
〔家族歴〕父の姉妹にITPで加療中の人あり
〔現病歴〕H15.1.6から37℃台の微熱出現。12日から全身倦怠感、13日から下肢の脱力出現し歩行困難になった
ため、某病院に入院。
入院時40℃台の熱発とHb3.4,Plt9.0万であり、14日当院転院となった。
<入院時検査所見>
【血算】WBC 2500/μl (Stab1.0,Seg3.0,Lympho12.0,Mono0.0,Eosino0.0, Aty-Ly1.0,Blast83.0%),
RBC
208万/μl, Hb 6.2g/dl, Ht 17.6%, MCV8 4.6fl, Plt 6.0万/μl
【凝固】Fib 516mg/dl, FDP 6.7μg/ml, D-ダイマー 6.90μg/ml, ATV 71%
【生化学】T-Bil1.1mg/dl, LDH722U/l, ALP84U/l, フェリチン786ng/ml, Fe90μg/dl, TIBC210μg/dl, UIBC120μg/dl
ハプトグロビン338mg/dl,
【免疫学】CRP28.42mg/dl
<骨髄穿刺> NCC:35.5万/μl, Mgk:25/μl, M/E比:0, Blast:98.4%


<染色体> 46XY
<細胞表面マーカー> CD10, CD19, CD22, CD34, HLA-DR 陽性
<特殊染色> POX(−),PAS(+)
<診断> 急性リンパ性白血病(ALL-L1,commonALL)
<入院後経過>
入院時、胸膜炎を起こすほどのコントロール困難な肺炎があった為、白血病に対する化学療法は
施行できないまま転院となった。
小児の急性リンパ性白血病について
【疫学】・ 15歳以下の急性白血病の約80%
・ 2〜5歳に大きなピークがある。
【成因】・環境要因より宿主要因、遺伝要因が強い
・Down症候群などの遺伝子異常による疾患が白血病発症の頻度を高くしている。
・ウイルス因子としてはEpstein-Barrウイルス(EBV)が唯一
【年齢】・ 診断時の年齢が最も強い予後因子である。
・予後良好:1〜9歳の小児
・予後不良:6ヶ月以内の乳児、10歳以上の高年齢群
【診断時の白血球数】・
多いほど予後不良
・ 50,000/μl以下が予後良好
【その他】・
初期の化学療法に反応性が良好、染色体転座がないなどが予後良好群となる。
〔症例2〕47歳、女性
〔主 訴〕特になし
〔既往歴〕40歳→子宮体癌ope,バセドー病、44歳→盲腸腺腫ope
〔現病歴〕H14.9より貧血を指摘。
10月にpancytopeniaを認め、骨髄穿刺にて急性白血病と診断され治療目的にて当科入院となった。
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H14.3.25 → H14.11.11 |
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WBC |
4100 2600 |
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Hb |
11.1 10.8 |
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Plt |
13.0 11.8 |
<入院時検査所見>
【血算】WBC 2900/μl (Stab11.0, Seg47.0, Lympho39.0, Mono0.0, Eosino1.0, Baso0.0, Aty-Ly2.0%),
RBC 322万/μl, Hb10.2 g/dl ,Ht30.1 %, MCV 93.5 fl, Plt 12.3万/μl

【生化学】T-Bil 0.5 mg/dl, LDH 323 U/l, フェリチン7 8 ng/ml, ハプトグロビン 196 mg/dl,Fe 79 μg/dl,TIBC 288 μg/dl,
UIBC209
μg/dl, VB12 正常, 溶血(-)
<骨髄穿刺>
NCC: 41.4万/μl, Mgk: 56/μl, M/E比:1.00, Blast: 92.4%

<細胞表面マーカー> CD10, CD19, CD22, CD34, HLA-DR 陽性
<特殊染色> POX(−),PAS(−)
<診断> 急性リンパ性白血病(ALL-L1,commonALL)
<入院後経過>
化学療法により寛解を保っている。
【症例3】 16歳、男性
【主 訴】 発熱、全身リンパ節腫大、下肢点状出血、歯肉腫脹、
【既往歴】 小児喘息(小児期のみ)
【現病歴】 平成15年4月末に点滴状出血出現。5月初めに歯肉出血を認め近医歯科を受診。
止血困難、歯肉腫脹を認めたため内科受診を薦められる。
5月10日頃より発熱。5月22日近医小児科にて、WBC 50,500/μl、Hb 9.6g/dl、Plt 1.0万/μlであり、
当日当院紹介受診となった。
【入院時現症】
全身状態 :体温38.5℃、血圧160/70 mmHg
頭頚部 :眼瞼結膜貧血あり、眼球結膜黄疸なし、
咽頭発赤、扁桃腫大、歯肉出血あり、
甲状腺腫大なし、頸部リンパ節腫脹2p数個、
胸部 :正常肺胞音、心雑音なし、
腋窩リンパ節腫脹あり、肝脾腫あり、
四肢 :ソケイ部リンパ節腫脹2p数個、下肢に点状出血斑あり、
紫斑1ヶ所
【入院時検査所見】
<血算> WBC
26,600/μl(Stb1.5, Seg0.5, Eo0.5, Ba0.5, Mo2.0, Ly22.5, Blast 71.0%)
RBC 2.31万/μl, Hb 6.2 /dl, Ht 17.9 %, MCV 77.5 fl, MCH 26.8 pg, MCHC 34.6, Ret 2 %,
Plt 0.6万/μl,

<凝固> PT 15.1 sec, PT-INR 1.22, APTT 27.3 sec, Fbg 327 mg/dl, FDP 3.8μg/ml, D-dimer 1.70μg/ml,
<生化学>T-P 6.5 g/dl, Alb 4.4 g/dl, T-bil 0.9 mg/dl, AST 81 IU/l, ALT(GPT) 20 IU/l, LDH 1083 IU/l, ALP 246 IU/l,
BUN 9 mg/dl, CRE 0.99 mg/dl, UA 12.1 mg/dl, Fe 198 μg/d,TIBC 218μg/dl, UIBC 20μg/dl,
フェリチン493ng/ml,
<免疫> CRP 2.09 mg/dl, IgG 1020 mg/dl, IgA 71 mg/dl, IgM 40 mg/dl,
エリスロポエチン3550 mU/ml, VB12 280pg/ml,
<骨髄穿刺>
NCC 8.1万/μl,(dry tapであり末梢血混入の可能性があるため正確ではない)
Mgk見当たらず,増殖芽球100%,芽球は一部核が切れ込みを有したり分葉している。
大型の細胞が多いが大小不同。核のクロマチンは不均一。
核網繊細で、大きな核小体が1〜3個明瞭に認められる。
胞体辺縁が舌状突起様に見えるものが少し見られる。
胞体に粗大好酸性顆粒を少量認めるものが散見される。


<特殊染色>
POX:陰性, SBB:陰性, EST-2重:陰性, PAS:陰性,
<表面マーカー>
CD10(+), CD19(+), CD20(+), CD22(+) ,K-ch(−), L-ch(−), CD34(+),CD38(+), HLA−DR(+),
<染色体検査>
62, XXY, +Y,−1,−3,−4,−9, del(9)t(9;22)(q34;q11),−12,−13,−15,−18,−19,−20, +21,−22,
del(22)(q10)t(9;22)
フィラデルフィア染色体
【診断/入院後経過】
入院時38度台の発熱、表在リンパ節の腫大、扁桃腺の腫大、肝脾腫を認め、末梢血にてWBCの増加、
Blastの増加、染色体・フローサイトの結果などから
Ph1陽性急性リンパ性白血病(L2)と診断された。
本症例はPh1陽性であるため、治療には同種造血幹細胞移植が必要不可欠と考えられた。
また、初診時に臓器浸潤が著名であり、寛解療法後の髄液細胞診でも白血病細胞の浸潤が認められたため治療は
急ぐ必要があった。
移植ドナーは患者の妹がHLA完全一致であり、7/15に移植の為転院となった。
【Ph1陽性急性リンパ性白血病】
1960年Nowellらによって報告されたフィラデルフィア染色体(Ph1)は、慢性骨髄性白血病(CML)の90〜95%に
認められる特異的染色体異常であるが、CML以外の白血病でもときに見い出されており、ALLでは、成人では
20〜40%、小児では2〜5%の頻度で確認されている。(稀ながら、AMLでは、1%程度確認されている。)
9月の主題