海上警備行動発令 政府、厳重抗議へ
政府は十日午前、中国海軍のものとみられる潜水艦が同日早朝から、先島諸島の石垣島と宮古島の間の日本の領海内を潜航していることを確認し、大野功統防衛庁長官は同八時四十五分、小泉純一郎首相の承認を得て、自衛隊法八二条に基づき海上警備行動を発令した。海上警備行動の発令は、平成十一年三月、能登半島沖の北朝鮮工作船二隻による領海侵犯以来、二度目だが、潜水艦に対しては初の発令となる。政府は船籍が正式に特定されしだい、厳重に抗議する方針だ。
政府筋はスクリュー音などから、「不審潜水艦は中国の原子力潜水艦の可能性が極めて高い」とし、漢(ハン)級SSN(攻撃型原子力潜水艦)の可能性があるとしている。
潜水艦は同日夕時点で、先島諸島北方の公海を潜航しており、海上自衛隊のP3C(哨戒機)、護衛艦、対潜ヘリが追尾している。
海上自衛隊は五日に、種子島南東三百十五キロの太平洋上で、中国の潜水艦救難艦「861」(排水量一一、九七五トン)と航洋曳船「東●830」(同三、六〇〇トン)を発見し警戒を強め、八日には今回の潜水艦の動きに関する情報を得ていた。
十日午前四時四十分ごろに、石垣島の南西地点を北上しているのをP3Cが発見し、追跡を開始。同六時半すぎ、潜水艦が領海内を潜航していることを防衛庁も正式に確認した。
潜水艦は領海内を時速十一キロから十四キロで潜航した。
政府は同六時五十分に首相官邸に官邸連絡室を設置したが、海上警備行動の発令は、潜水艦が領海内に入ってから約三時間後だった。
海上警備行動により自衛隊は、領海内に潜航している外国の潜水艦に対し、海面上を航行し国旗を掲げるよう警告し、これに応じない場合は領海外への退去を要求するため、ソナーなどを海中に投じる。
今回はしかし、海上警備行動の発令時に潜水艦は領海外にいたため、自衛隊は警告活動を実施できなかった。
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海上警備行動 自衛隊法82条は、防衛庁長官は海上での人命、財産保護、治安維持のため、特別の必要がある場合に、首相の承認を得て自衛隊に海上警備行動を発令できる、と規定。海上の治安維持は、一義的に海上保安庁が担当しており、海保での対処が「不可能、もしくは著しく困難」な場合に発令されるため、「海の治安出動」とも呼ばれる。過去に1回だけ、平成11年の能登半島沖の北朝鮮工作船事件で発令されたことがある。
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漢(ハン)級原潜 旧ソ連の技術を基礎に中国海軍が1960年代に初めて自力設計した攻撃型原子力潜水艦。水中排水量5500トン、水中速力25ノット、乗員75人とされ、安定潜航深度は最大300メートルとみられる。しかし、スクリュー音が極めて大きいなど近代戦における実用兵器としての有効性は低い。
●=てへんに施のつくり