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サルの正義

 呉智英という評論家がいる。
 その概略だけを抜き出して書くと、おそらく誤解を招いてしまうような、そんな評論が多いが、中でも「サルの正義」という評論(と一口に言って良いかは疑問だが)は、先入観とか既存の価値観とかを無視して、頭を真っ白にしてから読まないと理解できないかもしれない、というような評論だ。

 アメリカ国内だけでなく、世界中を震撼させた全米同時多発テロ。
 テロの犠牲者となった人々の冥福を祈らずにはいられないが、一連のテロに対するマスメディアの報道姿勢に対しては、私は疑問を持っている。

 テロの首謀者は多くの命を奪った「罪」を免れないが、米国に対するテロ行為は果たして「悪」であろうか?

 最初に述べた呉智英の「サルの正義」は、アンチ資本主義の立場から書かれた警告の書という風に私は読んだが、その中でも特に印象に残っているのは、正義とか悪とかはいつでも相対的なものであるという「事実」についてであった。

 ここでテロとその容疑者のグループ、そして米国との間の確執について詳しく説明することは素人の私には到底無理だが、一つだけ確かに言えることは、一連の報道は、被害者であり世界一の軍事大国でもある米国の視点から常に発信されている、ということだ。

 だが、被害者=善(正義)、加害者=悪とは限らない。
 ことに今回の”米国そのものをねらったテロ(大統領発言による)”事件では、被害者=米国であるとするならば、誰しも被害者=米国=善(正義)と言うには抵抗があるだろう。
 それだけ米国は世界中でやましいことをやっているということなのだ。

 国内でも、この事件を渡りに船とばかりに、さっそく自衛隊法の改正(改悪)をたくらむ勢力が動き出したようである。
 ムードに弱い日本人が、このテロ事件に対してこれからどういう行動を取っていくのか。

 私は甚だ不安になる。
(2001.09.17)

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