1027年201日
ブラッド マユラ、調子はどうだい?
マユラ いいよ。
ブラッド そりゃ何よりだ。
マユラ あのね、ブラッド・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ブラッド ん?どうした??
マユラ また明日も来てくれる?
ブラッド あぁ、来るよ。
マユラ じゃあ・・・・・・その次の日も、そのまた次の日も・・・・・・来てね。
ブラッド わかった。約束だ。
マユラ うん、約束・・・・・・。ふふふ。
1031年35日
ブラッド マユラはずっとひとりで生きてきたのか?
マユラ スクーレに来てからはね。
大昔は・・・・・・あたしにも仲間がいた。
ブラッド そうなのか!?で、その仲間は今どこに?
マユラ ・・・・・・もう、いないわ。どこにもいないの・・・・・・。
ブラッド ・・・・・・そうか。でもさ!今は俺達がいる。ゴーレム騎士団がマユラの仲間だ。な?
マユラ ・・・・・・・・・・・・わからない
あたしは・・・・・・ひとりでいるべきだから・・・・・・。
ブラッド そんなこと、誰が決めたんだ?
マユラ ・・・・・・・・・・・・
ブラッド ・・・・・・とにかく。俺はいつだって、マユラの味方だからな。忘れないでくれよ。
マユラ ・・・・・・期待しちゃうの、怖い・・・・・・。
1036年118日
息子 あぁ〜あ。ブラッド団長、予言の魔物はまだでないのかな?
ドカッ
レオ ふぬけたあくびしてんじゃねぇ!
息子 痛いな!ぶつことないだろ!!
レオ 暇ならいつでも稽古つけてやるぞ。
息子 へん!ハープなんか武器になるか!
レオ そのハープにいつも負けてんのはどこのどいつだ?ダサいやつめ!
ゲフ ちくしょう!!
ブラッド うるさい!喧嘩は外でやってくれ
ヴィヴィ ブラッド、元気だった?
息子 ヴィヴィさん!
ヴィヴィ ねぇ、ブラッド。暇ならあたしと遊ばない?季節もちょうどいいし!
ブラッド 悪いが、取り込み中だ
息子 あ、じゃあ、俺が・・・・・・。
ヴィヴィ ブラッド。あたしと来れば楽しいこといっぱい出来るよ?
ブラッド また今度な。
息子 あの、俺はいつでも空いてますけど?
ヴィヴィ うるさい!
ドカッ
息子 すみません・・・・・・。
ギギィィ・・・
ブラッド マユラ!?
マユラ ・・・・・・・・・・・・。

番人のマユラが時計塔を離れるのは初めてに等しいことだった。
ブラッド達の目の前に立ち尽くす、マユラの額には汗がにじんでいる。
いつもの涼しげな様子はみじんも感じられない。

ブラッド どうした!?
マユラ ・・・・・・・・・・・・たすけて!

マユラは眉を寄せて、それだけ言うと唇をぎゅっと噛みしめた。
おそらく彼女が他人を頼ったのは長い長い人生の中で、
それが初めてのことだったのだろう。
ブラッドはマユラを安心させるように肩をたたいた。

ブラッド 時計塔に魔物が出たんだな?
マユラ うん。
ブラッド わかった。それはたぶん予言の魔物だ。俺達にまかせとけ!
みんな行くぞ!
ヴィヴィ はぁ・・・・・・。あっという間に全員いなくなっちゃった・・・・・・。
・・・・・・あんた、幸せだね。感謝しなよ、ブラッドに。
マユラ ・・・・・・うん。
災厄の時が、来た。
ブラッド達が到着すると、見覚えのある魔物が
時計塔の中へ消えていくところだった。
ブラッド 地下に逃げたぞ!
息子 なんだ、あの化け物・・・・・・。あんなでっかい・・・・・・魔物なのか?
ブラッド ・・・・・・ナグゾスサールだ!やっぱり・・・・・・転生したんだな・・・・・・・。
けど、なんで時計塔なんかに?
息子 ブラッド団長!ぶった斬ってやろうぜ!俺、燃えてきた!!
ブラッド よし!落ち着いていくんだぞ

ブラッドたちは、マユラの場所に入り込んだナグゾスサールを追い、
時計塔に入っていく。

戦闘

ナグゾスサールを倒したブラッドは、少し落ち着いて周りを見た。
それは、見たこともないような場所だったが、
ブラッドは、どこかよく知っているような・・・
懐かしさと、少し哀しいような手触りを感じていた。
そこに、少女が入ってきた。

ブラッド マユラ、来たのか!?
まだこのあたりは危険だぞ。
マユラ でもここ、あたしの場所だから。・・・・・・ブラッド、ありがとう
ブラッド あぁ、どうにか魔物は倒せたよ。けどごめん。時計塔の壁がちょっと崩れてしまった。
マユラ ううん、いい。これくらい、あたしが直せる。
それより、ブラッド。たくさん血が出てる。

マユラはハンカチを取り出すとブラッドの腕に巻きはじめた。

ブラッド ・・・・・・ありがとう。
マユラ ブラッド・・・・・・旅は楽しい?
ブラッド あぁ、まぁな。魔物を追ってのせわしない旅だけど。
マユラ でも、いつもみんなと一緒で楽しそう。
あなたはあたしと同じ不老不死だけど・・・・・・仲間がいる。すてきね。
ブラッド ・・・・・・マユラも仲間になればいい。入団希望者はいつでも大歓迎だ
マユラ え・・・・・・。
・・・・・・だめ。あたしは、ここにいなくちゃ・・・・・・
ブラッド どうしてそこまでこの街にこだわるんだ?
マユラ ・・・・・・あなた、時計塔の別名を聞いたことある?
ブラッド シルの塔だろ?
マユラ それは後につけられたものよ。
最初は・・・・・・<精霊の河>って呼ばれてたの。
今ではスクーレの街の人すら知らないけれど。
ブラッド 河・・・・・・?
マユラ ここは<聖なるもの>が流れる場所なのよ。そして、あたしはその番人
ここを守るために・・・・・・ずっと生きてきた。離れられない。
ブラッド どんなに街の人に疎まれても・・・・・・か。
マユラ うん。それに・・・・・・明らかに、ここはおかしくなってきてる。
夜中に鐘が鳴ったり、魔物が出たり・・・・・・。
<精霊郷>に異変が起きてるとしか考えられないわ。
ブラッド 精霊郷!?それは何だ?実在するのか?
マユラ うん・・・・・・。聖なるものの流れ着く先の世界よ。
このまま放っておけない・・・・・・。<闇のしずく>だって控えているし・・・・・・。
ブラッド マユラ・・・・・・おまえはいったい・・・・・・?
ギュォォォー!
ブラッド なんだ!?
ギュォォォー!
マユラ あっ!

一瞬の出来事だった。
散らばっていた魔物の肉片が、時間を巻き戻すがごとく、元通りにくっついていく。
肉片はたちまちナグゾスサールの体を再生しマユラがその手の中に捕らえられた。

ナグゾスサール 油断しおったか、小僧!我は生き返る。何度も何度でもな!
ブラッド マユラをかえせ!

ブラッドが飛びかかるより早くナグゾスサールは鋭い爪にマユラの服をひっかけ
彼女もろとも塔の上へと飛び上がった。
老朽化した時計塔の屋根をぶちぬくとそのまま去っていく。

ブラッド 待ちやがれ!!

ブラッド おい!魔物がどこへ飛んでいったか知らないか!?
若者 へぇ・・・・・・魔物ってやつは飛ぶのかい?
ブラッド 見てないのか!?時計塔のマユラがさらわれたんだ!
若者 ・・・・・・さぁ・・・・・・知らないね。
それにしても番人のヤツ、やっぱり魔物と関係があったか。
前から薄気味悪いと思ってたんだ。どうせならこのままいなくなってもらいたいね。
ブラッド ・・・・・・ちくしょう。
レオ ブラッド!ダサいやつの言うことなんか気にしてる暇ないだろ。
息子 そうだよ!今は目撃者探し優先だ。
ブラッド あぁ、そうだな。二手に分かれよう。
レオとゲフャッハーは酒場のほうからまわってくれ。
息子 わかった!
フィニー おい!おいってば!
ブラッド フィニー!?街に来ていいのか?アリアに怒られるぞ。
フィニー バカ。アリア様のお使いだよ!街外れの森に来いってさ。
ブラッド 悪いが・・・・・・今忙しいんだ。例の予言の魔物を探してる。見なかったか?
フィニー 俺は知らない。けど、アリア様なら何か知ってるんじゃないか?来いよ!
ブラッド ・・・・・・わかった。
マユラがさらわれた!魔物の行方を知らないか?あんた全部知ってるんだろう!?
教えてくれ!!
アリア ・・・・・・落ち着きなさい、ブラッド・ボアル。
私の言いたいことはひとつ。
すぐに王都に向かいなさい。次の災厄が始まってしまいます。
ブラッド !そんなこと今言うなよ!!
アリア いいえ、私は以前から言っていたはず。
1036年の大きな流れを作ったら次にすべきことは王都への旅だと・・・・・・
息子 おーい!ブラッド団長!!そんなところで何してんだー?
魔物は西の砦のほうに飛んでったそうだよ!
アリア ブラッド!王都へ向かうのです
ブラッド ・・・・・・行けないよ。マユラを見捨てて、この街を去れるものか!
フィニー これだから人間ってやつは・・・・・・アリア様も苦労されますね。
アリア ・・・・・・いいえ。結局最後に困るのはブラッド・ボアル自身です。
学んでもらいましょう・・・・・・。



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