マジシャンが卒業式で読んだ答辞。一見チョット独自性の強い(=変な)程度の答辞に見えるが、実はマジシャンによって様々なリンクが張り巡らされていた。自己満足のために散りばめたリンクだったが、誰にも知られぬまま、お蔵入りになるのも何なので、ここで解説付で公開する。あのセリフ、このセリフの裏にこんなリンクがあったのかが分かる。これを読めば答辞が1.5倍楽しくなる。少なくとも通常の1.5倍の時間をかけて答辞を読むことになる。なお答辞の模様は大学のホームページで動画が公開されている。
麗らかな春(※1)の陽気に誘われて、待ちに待った桜の季節(※2)が近づいてまいりました。
本日は私達卒業生のために、このように盛大な式典を挙行していただき、誠にありがとうございます。また、本日御臨席を賜りました皆様方に厚く御礼申し上げます。私達卒業生一同が、無事この晴れの日を迎えることができましたのも、ひとえに学長先生をはじめ教職員の方々、ならびに諸先輩方のおかげと心より感謝いたしております。
※1麗らかな春:麗らかな春、うららかなはる、ウララカナハルウララカナハルウララカナハルウララカナハルウララ…。もう分かるだろう。当然これは、おそらく今、日本で最も有名な競走馬「ハルウララ」へのリンク。個人的にはハルウララの異常人気には疑問があるが、世間の関心度は高いので取り入れてみた。
※2待ちに待った桜の季節:競馬ファンにとって「桜」と言えば「桜花賞」。待ちに待った桜の季節と言うより正確には待ちに待った桜花賞の季節と言った方が正しいが、答辞でそんな事を言ったらただでは済まないだろうから言わなかった。その程度の判断はできる程度には私も大人なのだ。
また、只今は学長先生より心のこもった激励の御言葉とはなむけの祝辞を頂き、ありがとうございます。私達一同、いよいよこの関西大学を卒業するのだという実感がより一層わいてまいりました。
大学生活は長いようですが、今振返りますと(※3)、とても短く感じられます。しかし、様々な経験をし、その内容はとても充実したものでした。関西大学はその広大なキャンパスにとどまらず、有形無形の様々な場を私達に与えてくれました。
※3振返りますと:分かりづらいが「振返りますと」、言い換えれば「振返れば」。「振返れば」と言えば「振返れば奴がいる」(チョット苦しいが)。「振返れば奴がいる」と言えば三谷幸喜初のテレビドラマ脚本作品。織田裕二、石黒賢などが扮する医師達のドラマである。
私達は学問を通じて様々な知識を身につけると同時に、その知識同士を論理的思考によって結び付ける(※4)事で、新たな世界が開ける事も知りました。そして一つの物事について、様々な視点から見ることにより本質を見極めようとする姿勢はこれからの私たちにとって大いに役立つ事でしょう。また授業やゼミ、サークル、クラブ活動、アルバイトなどの機会を通じて様々な人達と出会う事ができました。心配性な人がいれば、お気楽な人もいる。甘い物好きな人がいれば、辛い物好きな人もいる。流行が好きな人がいれば、古風な所がある人もいる(※5)。阪神ファンがいれば、巨人ファンもいる。中には近鉄ファンもいる。このように多様などの友人も、かけがえの無い財産であり、この人間関係はこれから先の私たちにとって必ずやプラスとなるでしょう。また私たちが自由で充実した大学生活を送る事ができたのは多くの皆様のおかげでした。親切に、時に厳しく、中には私達を挑発してやる気を起こさせながら(※6)、ご指導してくださった諸先生方、諸先輩。私たちの大学生活を陰ながら支えてくださった職員の皆様のおかげであると、心から感謝しております。
※4知識同士を論理的思考によって結び付ける:「経済発展論」でお馴染みのU先生のお言葉からのリンク。U先生がこの通りに言ったわけではないが、「経済学の授業と言うのは、それぞれが独立しているのではなく、つながりあっているんだ。」というような趣旨のお言葉があり、「ナルホド。」と思った事があったので、アレンジして使ってみた。
※5流行が好きな人がいれば、古風な所がある人もいる:山崎まさよしの歌(タイトルは失念)の歌詞からのリンク。先生の研究室で答辞の文章を練っている時に、私の原稿にあった「いろんな友人シリーズ」を見た先生が山崎まさよしの歌本を私に見せて、歌詞を少しアレンジして「いろんな友人シリーズ」は「心配性・お気楽」「甘い物好き・辛い物好き」「流行・古風」「阪神ファン・巨人ファン・近鉄ファン」の4パターンに。ちなみにこの「いろんな友人シリーズ」はある程度実在の人物を想定しながら考えたものの、どれが誰、と決まっているわけではなく「こんな感じで言っておけば、どれか一つくらいは当てはまる知り合いが誰にでも一人くらいいるだろうから、多くの人の共感(教官ではない)を得られるだろう。」という計算もあり。ちなみにここは笑ってもいい所。このあたりから聞いている方が「ひょっとしたらこの総代は変な奴かもしれない。」と気付き始めたと思う。
※6私達を挑発してやる気を起こさせながら:完全に経済学部限定のネタ。言わずとしれた「経済発展論」でお馴染みのU先生が再び登場。受講生を「おサルさん」呼ばわりして挑発する授業方法は独創的かつ好き嫌いの分かれる手法だった。「経済発展論」を受講した事のある経済学部生なら一発で「ああ、あの人ね。」と分かったはず。
そして忘れてならないのは常に暖かく見守ってくれた父、母、祖父、祖母をはじめとする家族でした。私達が無事に大学生活を終える事ができたのは、経済的にも、精神的にも家族の存在があったからこそだと思っております。
今日この日をもって、私達はたくさんの思い出を胸に関西大学を卒業し、将来の夢に向かって新たな道を歩み始めます。これからは自ら現場(※7)に出て、自らの責任において物事を処理して行く事を楽しみにしています。しかしその道のりは平坦で楽なものではないでしょう。これまで遭遇した事の無い困難や、厳しい状況に直面する事もあるはずです。そのような時、関西大学での経験を活かし、一度や二度のつまずき(※8)で決してあきらめる事無く(※9)、自ら問題を解決して道を開くよう、ベストを尽くしたい(※10)と考えています。しかし何分社会経験の浅い私達ですので、卒業後もこれまで同様、皆様の御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。
最後になりましたが、学長先生をはじめ諸先生方、職員の皆様、ならびに本日御臨席くださいました御来賓の皆様方の御健康と御多幸、重ねて関西大学の御発展をお祈り致しまして、簡単ではございますが、御礼の言葉とさせて頂きます。
※7現場:「現場」と言えば織田裕二主演の大ヒット作「踊る大捜査線」で所轄の湾岸署員達にとってキーワードともなっていたし、何よりも「踊る大捜査線THE MOVIE」での名ゼリフ「事件は会議室で起こってるんじゃない、現場で起きてるんだ!」で有名。
※8一度や二度のつまずき:これはほとんどの人に気付かれなかったようだが最近公開された競馬の映画「シービスケット」の中での名ゼリフかつ作品全体のキーワードでもある「一度や二度のつまづきは誰にでもある。」からのリンク。しかしこれを聞いただけで「あ、シービスケットからのリンクだな。」と気付いた人はすごいと言うより、ちょっと変(もちろん誉め言葉で)。
※9決してあきらめる事無く:これも分かりづらいと思うが星野阪神が掲げたキャッチフレーズ「Never・Never・Never・Surrender」を日本語に訳して使ってみた。「決して、決して、決して、あきらめる事無く」としたらわかりやすかっただろうが、それだと分かり易すぎて逆に面白くないな、と思って、「決して」は一回で。
※10ベストを尽くしたい:これは結構分かりやすかったと思うが「トリック」で阿部寛演じる日本科学技術大学教授、来年には名誉教授の上田次郎の著書であり、名ゼリフ「なぜベストを尽くさないのか」からのリンク。「トリック」からは「まるっとお見通しだ!」、「どんと来い!」、「文字の力!」、「いや、これは頭から直接生えてるもんなんでずれるとかそんなことはないんですよ〜。」などのフレーズも候補にあったが、どう考えても答辞の中に入れるのは不自然なので残念ながら落選。
以上が答辞の裏側に張り巡らされていたリンクである。みなさんは一回聞いただけでどれだけ気付いていただろうか。これを知った所でどうとなるわけでもないが、ちょっとは別の楽しみ方ができるはずだ。ちなみにこの答辞でできなかった事が二つある。一つは麒麟の川島(ボケの方、登場した時に「麒麟です。」って言う方)が漫才を終わった時にする前屈のような手が床に付くくらいのおじぎ。もう一つは答辞を読んでいる最中にしようと思っていた、笑い飯が「作文ネタ」の時にやる、手に持って前の方に出している原稿を読んでいくうちに、だんだんと腕を見ながら読んでいって、「どこに書いとんねん!」というネタ(口で説明するととても分かりにくい)。あの雰囲気でそれができるほどの度胸はなかったと言う事。