|
皆様、こんにちは。札幌学院大学大学院の藤懸久明(ふじかけ・ひさあき)です。
新年度になりましたが、いかがお過ごしですか?本当ならもっと皆様にも、こまめにメール配
信をすればよろしいのでしょうが、何かと忙しいもので、月1回の配信になっています…。
本州でこのメールをご覧の皆様は、春の桜の花の下でご覧になっていることでしょう。しかし
ながら、北海道はまだまだ雪が残っております。桜が咲くのは5月の連休になります。まだまだ 咲きませんね…。
さて、本学でも4月のガイダンスなどが始まり、皆様にお手伝いをして頂いております聴覚障
害学生の筒井亮輔(つつい・りょうすけ)君の講義も新しいものが始まり ます。
つい数日前、前年度後期の成績が発表され、筒井君は大変優秀な成績を収めることが出
来ました。皆様からお手伝いを頂いた「教育学」の講義も、単位を取得できました。本当に有 難うございました。彼も大変喜んでおり、そして皆様には感謝をしています。
本学に在籍する聴覚障害学生は、筒井亮輔君だけでしたが、今年度からは社会情報学部に
工藤努(くどう・つとむ)君という新入生が入ってきます。彼の事も、皆様と一緒に応援してい きたいと考えておりますので、宜しくお願いいたします。
前回のメール会報で、皆様から多くの反響を頂きました。本当に有難うございます。
九州でホームページを開設していらっしゃる「キンタさん」からは、こんなメッセージを頂きま
した。
『様々なボランティアの方々の様子は、読んでいて心和みます。息子のu-goが将来な
んらかの道に進学したい時、彼の周りも優しさで溢れていることを願わずにはいられま せん。今後とも藤懸久明様達の活躍をお祈りいたします。』
本当に有難うございます。
また、私達の活動を大阪からアドバイスをいつもくださる、聴覚障害者の方からは、こんなメ
ッセージを頂きました。
『ボランティアの人あてのメールを興味深くよませていただきました。
聴覚障害者学生の講義保障のボランティア(ノートテイカー)の人数が20名前後だとい
うのは驚きです。
私が学生だった頃でも、5人くらい(ノートテイカー)だったから。
講義内容(教授たちが話している内容)を全部書くのは不可能だよね。
それをいかにうまく、分かりやすくまとめる作業って本当に大変だよ。
筆記要約もそうですね。
ほかにテープ起こしという方法もあるけど、これは普通の講義とかには難しいですね。
会談の内容をテープに録音して、後でまとめて機関誌や新聞に載せたりするのだった
らいいけど。一番は、ノートテイカーだと思うよ。
あやさんの言うことは私にも、分かります。 私も学生時代、ノートテイカーがいない講
義は友人がノートを見せてくれたり、コピーしてくれました。友人にはすごく感謝していま す。
でも、「恵まれて過ぎている」ということは考えなかったですね。
聞こえないから周りの助けがいるんだし、協力してもらったら常に感謝の言葉や態度を
忘れないようにしていました。
「交流会の目的は何か?」にていては、そのとおりだと思います。』
権利関係の先進地である大阪でも、聴覚障害学生に対してノートテイカーが充分に行き届い
ていない現実と言うのは、私にとっても驚きでした。
それだけに、聴覚障害学生は劣悪な状況に置かれがちです。入学時に差別される聴覚障害
学生もいるので(本学に於いては、その様な事はありませんが…)、それを考えた場合、「私達 の手で何とか良い状況を作り上げなくてはならない」と強く感じました。
さて、もう2月の事になりますが、2月13日に北海道札幌聾学校の見学会を、2月16日には聴
覚障害学生とボランティアとの交流会を行いました。今回は、札幌聾学校見学会の事を書こ うと思います。
札幌聾学校は、幼稚部、小学部、中学部までがある聾学校です。ここの教頭先生が私達を
案内してくれたのですが、本当に良い先生でした。先生自身も難聴である為、本当に生徒の立 場で生徒の気持ちを理解してくれる方だったのが印象的でした。いや〜、イイ先生だった〜。
なにせ、私達の案内をしている間中、生徒の自慢話ばかりしているのです。本当に、自分
の担当する生徒に愛情をもっているのでしょうね!世の中、この様な先生ばかりだと良い のですが…。
先生の話によると、札幌聾学校はバトミントンと音楽大会で好成績を残しているそうです。
バトミントンと言えば、私達の交流会に参加してくれている石井満里(いしい・まり)さんも、こ この聾学校のバトミントン部所属でした。石井さんの事は、追々お話する事にしましょう!
「音楽大会とは何か?」とお思いになる方もいらっしゃるでしょうね。私も初めて知って、大
変驚いたのですが、健聴児と同じ合奏コンクール(全道大会)に出場して、最優秀賞を取 るのです!!!もちろん、札幌聾学校は聴覚障害を持つ子供達ばかりですから、普通学校の 子供達と比べると、大きなハンディがあります。そこを努力でカバーしているそうです。
「聾学校」というと、皆様はどのようなイメージを持ちますか?聾学校と聞くと、「手話を使って
授業をする」というイメージがあるでしょう。私もこれまで、様々な人から同じような質問を受け てきました。北海道の聾教育の場合、手話を使わずに 「口話教育」といって、唇を読み取った り、「FM補聴器」という高性能補聴器を使って授業をします。
皆様が期待をしているような「手話だけを使って授業をする」というのは無いそうです。そ
の為に、聴覚障害児は手話を知らずに成長する人が多くいます。
余談ではありますが、子供達に手話を教えない事に関しては、帝京大学の田中美郷 (た
なか・よしさと)教授が、「10歳までは口話教育が良いであろう。なぜなら、あまり子供の ころから手話を教えてしまうと、聞く事に聴覚障害児が関心を持たなくなってしまう。しか し、10歳を過ぎてからは手話が必要であろう」という学説をたてています。
ちなみに最近知ったのですが、田中教授は東京で、私が行っているような、「聴覚障害学生
が手話と出会う機会作り」のボランティア活動をしているそうです。
それにしても、この聾学校で本当に目を引いたのは、聴力検査の設備でした。本当に立派な
ものを使っていますね。耳鼻科などでは絶対にお目にかかれないほどの施設の充実振りでし た。聴力検査室は、涼しい北海道の学校には珍しく、冷房が完備されているのです。放送室の ような部屋に、最新式の機材がたくさんありましたね。
この「冷房」のいうのがミソなのですよね。 聴力検査の場合、私も経験があるのですが、静
かな所で行わなければなりません。
通常の耳鼻科などで行われる聴力検査は、冷房が無い建物で窓を開けた状態で行われま
す。最も、防音用の個室(電話ボックスみたいな物)に入れられるのですが、それでも外部の音 は聞こえてしまいます。「どれが検査音で、どれが外部音か分からない」という状況になって しまいます。そうやって、「検査音を聞き分けよう!!!」 と頑張っているうちに、私は必ず耳 鳴りを感じてくるのですよね…。最も私の場合は、寝る時と静かな空間に行った時は、必ず耳 鳴りがするので、それだけでは無いのかもしれませんが…。(子供の頃、私は耳鼻科通いと聴 力検査が『日課』でした。)
それと、皆様の中には「補聴器をつけると、音がクリアに聞こえる」と思っている方もいらっ
しゃるかもしれませんね。そうではないのです。
私は親戚から補聴器を借りて付けてみた経験があるのですが、「補聴器を通した音」は、「現
実の音」とは違って聞こえるのです。健聴者の場合、「電話の音」と「現実の音」が違って聞こえ るという経験は、誰しも知っていることですよね。補聴器を通して聞く音は、それと全く同じ状況 になるのです。
それだけではなく「音が平面に聞こえる」のです。本当に「立体感が無い」のです。
それに、補聴器は雑音が本当に大きく感じますね。以前何かのテレビで「講演会をテープの
録音したときの音みたいだ」という表現を聞いたことがありますが、本当にそんな感じで、本 来聞きたい音が遠くに聞こえ、雑音が近くに聞こえるのです。そのうち、耳が痛くなってきます ね〜。
補聴器ひとつを考えても、これらの理由から、それだけに頼ることは出来ません。
特に、大学の講義などでは、やはり私達の行っている「講義保障」が必要になってきます。
本当に、これからも皆様のご協力を宜しくお願いいたします。
なんだか聾学校の話から、だんだんそれてきましたね。
九州の「キンタさん」のホームページをご覧になると、椅子に付けるテニスボールの話が
出てきますね。これは、西日本やアメリカでは一般的な方法です。しかし、北海道では全く行わ れていません。「どうしてですか?」と尋ねたところ、「社会に出た時、音に対して気をつける 人になって欲しいから。一般社会の椅子には、テニスボールは付いていないでしょ?」と いう回答でした。
なるほど、そうですね。
私達のボランティア団体の交流会でも、本当に聴覚障害学生達は「音」を出さないように
気を付けています。私にしてみたら、「仲間内なんだから、そんなに気を使わなくても…」と思 ってしまうこともありますね。「食事の時に音がしても、私達は気にならないよ」と言う事も、 しばしばあります。彼らが音に気を付ける原点は、ここにあったのかな?と思ってしまいまし た。
それと、札幌聾学校の子供達の表情が本当に活き活きとしているのが印象的でしたね。私
は5年前に、他の地域のある聾学校に訪問した経験があったのですが、その時は子供達の表 情が「ほとんど無かった」ので、驚いた事があります。確かに、あの時の先生は、ちょっと「難 あり」だったな…。
良い先生に恵まれると、表情の豊かな子供達になるのだな、と強く感じました。
最後に、いつもどおり、写真を掲載しますね。
聾学校の中では、聴覚障害児のプライバシーに配慮して、全く写真は撮りませんでした。そ
の為に、見学会終了後の食事の写真を掲載しますね。札幌学院大学と浅井学園大学の方が 参加をしてくださいました。
まずは、ひとつ目のテーブル。右端は、私です。
![]()
そして、ふたつ目のテーブル。左から、学内で手話通訳をしている坂本知加良君、聾学生の
筒井君です。 ![]()
なんだか左側が見えにくくて御免なさい…。
![]()
本当は難聴の高橋教授も参加していらしたのですが、先生はお忙しい為に、食事には参加
せずにお帰りになってしまいました。残念ですね…。
それと、写真はありませんが、昨年度で卒業した学内テイカーの皆さんへの感謝の意味も込
めて、名前と新年度への贈る言葉を書きたいと思います。
商法担当の廣島君恵さん、法学部の専門教科で大変だったでしょうが、どうも有難う!旭川
の教育大学で、先生の夢が叶うとイイね。今、教育現場に求められている人は、貴方のような 「相手の立場に立てる先生」です!
同じく商法のM.H.君、実家に帰っての勉強になりますが、これからもコツコツ頑張って
ネ!努力は必ず報われます!!!
経済担当の「なっち」さん、お仕事は大変でしょうが、見学会や交流会には参加してください
ね!これからも笑顔でファイトです!
前期に色々な科目に参加してくれた小野寺歩さん、貴方がソルトレイクシティ・オリンピッ
クに出たら、「ノートテイカー・応援団」を結成します(笑)!!!全日本と自分の講義とボランテ ィア活動の両立を本当に有難うございました!!!
みんな、みんな、本当に有難うね〜〜〜〜!
今回も私の感じるままに書いてしまいましたが、いかがだったでしょうか?これまでの会報の
感想などでも皆様から送って頂けると筒井君も喜んでくれると思います。
なお、札幌地域の学外ボランティアの皆様にお知らせですが、現在あやさんの企画で、小樽
市銭函の北海道高等聾学校の見学会を予定しています。5月位に行うそうですので、是非参 加してみませんか?詳しいことが決まりましたら、札幌地域のボランティアの皆様には個別に ご連絡いたします。
それでは、今年度も本当に宜しくお願いします!!!
藤懸久明(ふじかけ・ひさあき)より
P.S
今年度は、もっと手話通訳の方も上手になりたいな〜。
|