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◆学外ボランティアの皆さんへ_C 2001年5月13日
学外ボランティアの皆様、こんにちは。札幌学院大学大学院の藤懸久明(ふじかけ・ひさあ
き)です。
連休も終わりましたが、皆様の連休はいかがでしたか?私はと申しますと、やっぱり「温泉」
でした。1週間に1度、必ず温泉に通っている私にとって、連休中も温泉でした!
でも連休中になると、いつもとは違い、仲間で温泉に行く事が出来るのですよね。
今回も、高校時代からの親友である、いつも通りの男性ばかりのメンバー4名で、人里はな
れた温泉に行ってきました。桜の咲く中、本当に良い気晴らしになりましたね。
このメンバーの中には、耳が聞こえず手話の分からない男の子の先生を5年間(中学2
年から高校3年まで)していた人がいます。彼は正式に学校で先生をしていた訳ではありま せんでしたが、彼の指導力は抜群でしたね。彼が先生になってから、その子は成績がグンと伸 び、その子が志望していた筑波短大を見事合格させる事が出来たのです!筑波短大に は、日本で唯一の聴覚障害学生専門の学科があります。そこにその子は入学したのです。
「聴覚障害児の勉強」という事になると、とかく難聴学級の先生や聾学校の先生にスポットが
当たりがちです。しかし、私の友人の様に、学校外で先生をしていた人にもスポットを当てなけ れば意味が無いでしょう。
「その子が本当に、どのような教育を受けてきたか?」という話になると、「あの子は**
難聴学級に通っていたから、そこが良いのかな?」「この子は##聾学校に通っていたから、 そこが良いはず」などという話しになる事があります。そうではなく、一番議論されるべき問題 は「誰がその子に与えた影響が大きかったのか」なのです。そこを正しく議論されなければ ならないでしょう。
私の親友が5年間の障害児教育に区切りをつけた後、彼は障害児教育を離れて国家公務員
として、障害児教育とは全く無関係の事をするようになりました。理由はたくさんありますが、彼 は学校教育には良いイメージを持っていませんでした。
確かにそうかもしれません。なぜなら、私の高校では(と言うよりも、北海道中の公立学校で
時々あることかもしれませんが)、一部の教員による生徒への暴力が公然と行われていた からです。
皆様は「ペパーミント・キャンディ」という、有名な韓国映画をご存知でしょうか?全斗煥(チ
ョン・ドファン)政権下で、公務員が何の罪も無い一般市民に暴力を振るって虐待していた 歴史を扱ったものです。子供達に暴力を振るう先生の話しを聞くと、私はいつも「ペパーミン ト・キャンディ」を思い出してしまいます。
その反面、学校教育を行っている先生には、良い方もたくさんいます。本学の難聴の高橋渉
先生のように、大学の先生になる前の障害児学校教員時代に、しっかりとした実績を積み重 ね、子供達の事を心底理解している方もいますし、北海道には聾学校で生徒の事をしっか りと理解している2名の聾唖者の先生もいます。
私は2名の聾唖者の先生のうち、教員になって7年目の方と意見交換をする機会に恵まれた
のですが、やはりご自身の辛い経験があるからこそ、生徒にも親身になって接する事が出 来るようです。
教育の現場が、こうした「良い人ばかり」になる事を望まずにはいられません。
なんだか深刻な話しになってしまいましたが、気を取り直して…。前回のメール会報の感想を
頂いております。
大阪から私へいつもアドバイスをくれる、聴覚障害者の方(20歳代半ばの方)からのメール
です。
私が通っていた聾学校も基本的に(相手の唇を読む)口話教育でした。
「小さい頃から手話を教えるのも大切だと思うけど、自分で声を出してみる事、補聴器
をつけて音を少しでも聞いてみる事をしようとしなくなるのでは?」と、前にろう教育関係 の討論会での発言があったなあ。
音楽の授業では、リズム中心で、体で覚えていました。
補聴器を長く使っていると、音の大きさ、速さが分かるようになるので、「音を聞いてみ
る」ことも大切だと思う。
でも、補聴器をつけると普通の会話ができる、と思っている方がまだいますね。
私も、時々そう言われます。
聞こえないっていう事や手話に対しての理解は増えたけど、補聴器のことについてはま
だ足りないのではと思います。
聴覚障害者の方から言われると、本当に重みがありますね。
「手話か?口話か?」のように、どちらが良いのかと問いただす人もいますが、どちらか片一
方だけではなく、双方の「良い面」があるのですから、それを考えた均衡の取れている聾教育 が必要なのでしょうね。
「聞いてみる事」をしながら、きちんとしたコミュニケーション手段(聴覚障害児の場合は手話
ですね)を身に付けられたら最高なのでしょうけれどね。
また、この方のおっしゃっている「補聴器をつけると普通の会話ができる、と思っている方
がまだいますね」は、その通りです。本学の先生の中にも、筒井君が補聴器を付けている事 と、通常の聴覚障害学生に比べて、はるかに口話法が上手な事から「筒井君は大きな声を 出すと聞こえる」と誤解している方が、たくさんいました。そうではないのですけれどね〜。
さて、今年度も1ヶ月を経過し、筒井君のテイカーは埋まりつつありますが、新入生の工藤君
のテイカーがなかなか決まらず、工藤君本人はもちろんの事、私や工藤君のアドバイザーであ る坂本知加良(さかもと・ちから)君も苦悩しています。
そんな中で、坂本知加良君の成長は、本当に目を見張るものがあると思います。昨年度まで
は「自分は、どうしたら良いのか分からない」という面が多かったにも関わらず、4月からは「自 分がしなくては」と、彼自身から様々な活動を積極的に行ってくれるようになりました。それで いて、私とは歩調をしっかりと合わせてくれます。
高橋先生も「彼は成長したね」と言っていますね。
正直申し上げまして、今年は昨年度活躍していた廣島さんや、「なっち」さんが卒業してしま
った為に、私は今年のテイカーの企画を心配していたのです。ところが、坂本君が急激に成長 を遂げ、今では私達の団体の「アシスタント・リーダー」になり、廣島さんや金田さんのいなくな った穴を充分に埋めてくれています。
坂本君のお父さんは、もう亡くなりましたが、聾唖連盟で活躍していた方で、人権問題に積
極的だったそうです。そしてお母さんは、北海道で有名な「どさんこワイド」というテレビ番組 の手話通訳です。ご両親共に有名な方で、坂本君は本当に「サラブレッドの子」なのです。そ のサラブレッドの子が、やっと自分で走り出したといったところですね。
そんな彼のもとに、なんと「難聴の子供を持つ親の会」から講演の依頼が来ました!かなり
驚きです!確かに坂本君は頑張ってくれていますが、彼が本格的に活動に参加するようにな ってから、まだ1ヶ月と少ししか経っていないのですから…。
彼も、「あ〜、気が重い」と言っています…。大丈夫なのでしょうか?私も心配…。でも彼に
は、「背伸びをせずに、この1ヶ月間の事をお話しして欲しい」とアドバイスをしています。こ の1ヶ月間、彼は本当に頑張ってくれているので、彼ならやってくれるでしょう!!!
講演は5月19日!坂本君、頑張ってね!!!
5月19日は、坂本君と一緒に筒井君も講演をします。次回のメール会報では、2人のの立派
な講演の結果をご報告できる事でしょう!
さて、現在韓国では「1日」という、障害児を扱った映画が大ヒットしている事をご存知です
か?韓国の「大鐘賞」(韓国語の発音は分かりませんが、日本語読みをしたら「だいしょうしょ う」になりますね)というタイトルの様々な部門賞を取ったそうです。
この映画についての日本語解説のアドレスは、こちらです。
(註 : 現在は「エンジェル・スノー」というタイトルで、ビデオとDVDをレンタルすることが
できます。字幕付きです。)
この映画に出てくる内容の「子供を産むかどうか」という話しは、実は私の母が私を産む時
にも医者から色々言われたそうです。
医者は母に「母子共に危険な状態なので、この子を殺した方が良い」と言い、母はそれを
断り続けていたそうです。私の母は「どんな子であっても産みたい」と考えていたそうです。そ うして生まれた私は、生まれたばかりの頃、医者から「長くは生きられない」と言われていた そうで、その時の苦労話は今でも聞いています。
現在私は、何不自由のない、普通の生活をしていますが(出生時とは全く関係なく、難病の
経験がありますので、多少の不便はありますが)、やはり今でも、他の人達のその様な話しを 聞くと、涙が出てきてしまいます。
忍足亜希子(おしだり・あきこ)さんという聴覚障害を持つ女優さんの聴覚障害者映画「ア
イ・ラブ・ユー」(昨年の日本アカデミー特別賞受賞映画)にも、そういった内容が出てきまし たが、私は本当に涙が出てきてしまいますね。
この映画の主演女優は、韓国で演技派として有名な「コ・ソヨン」です。
早く日本でも上映がされないかな?待ち遠しい!!
いつも通り、最後は皆さんの写真を一緒に送信します。もう遅くなりましたが、2月16日のボラ
ンティア交流会の写真です。 ![]()
2枚目の写真は、右端は坂本君。そして左の女の子は、聴覚障害学生である「浅井学園3
人娘」の石井さん、あやさん、中井さんです。この「浅井学園3人娘」は、私の研究室に頻繁 に遊びにきてくれます。イイ子達ですよ!
ちなみに、真ん中のボランティア学生は、疲れて寝てしまっていますね〜(笑)。
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3枚目の写真は、浅井学園のあやさんと石井さん(写真右)です。
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4枚目の写真は、中央が筒井君です。
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そして最後の写真は、聴覚障害者のお店である「へんみ」での全体写真です。
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こういった人々と、この会報を読んでくださっている皆様に支えられて、私達の活動は成立し
ています。これからも、様々なご支援を宜しくお願いいたします。
次回のメール会報では、坂本君と筒井君の講演会の結果報告と、5月10日に行われた北海
道高等聾学校見学会の報告をしたいと思います。
札幌学院大学大学院法学研究科修士課程
藤懸久明(ふじかけ・ひさあき)より
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