◆学外ボランティアの皆さんへ_D 2001年7月26日
 

 皆様、こんにちは。札幌学院大学大学院法学研究科の藤懸久明(ふじかけ・ひさあき)です。
本当にお久し振りです!
 いつもの事ですが、なんだか忙しくて皆様にメールでのご挨拶が遅れてしまいました。今回か
らは、私達の団体の社会情報学部3年、山口渉(やまぐち・しょう)君がHPを作成してくれまし
たので、それを使ってのご報告となります。いかがですか?本当にすばらしいHPでしょう?こ
のHPの感想などがありましたら、是非BBSに書き込んでみてください。
(註 : 山口君は、旧HPの管理をしてくださっていました。現在の、このHPは、私・藤懸
久明が管理をしています。)
 ちなみに、私は「本当にすばらしいHPでしょう?」と書きましたが、自分達の事を謙遜せず
に、人前で「良かった!」と評価するのが北海道でよくある表現です。例えば誰かに料理
を出した時に「御口に合うかどうか…」などと言わず、「うまいっしょ!」とストレートに言うのが、
北海道ではよくありますね(笑)。

 学部の皆さんは、現在試験期間中との事で、本当に大忙しをしています。大学院生の私も本
当に忙しいですね…。修士論文の関係が全然ダメなので、あせっています…。
 そんな中、本学の聴覚障害学生の筒井君と工藤君は、本当に頑張ってくれました!
 これも皆様のご協力があったからです。本当に有難うございます。

 と言う訳で、今回も皆様から頂いた感想からご紹介いたしますね!
 まずは、本学のノートテイカーの方から…。


 『藤懸さんが言うように、「成長していく上で誰の影響が大きかったか」って、それが一
番重要なことですよね。
 必ずしも教育現場の先生が素晴らしいとは限らないし。
 むしろ悪い影響を与えられる可能性もありますもんね。
 固定観念を持っちゃうのは良くないですね』


 正直申し上げて、私はメール会報を作るにあたり、毎回「大丈夫かな…?」と、かなり心配に
なるのです。もちろん、このメール会報は学校関係者の方も読んでいます。「学校関係者の方
からどのようなご意見を頂けるか?」と思ったのですが、学校関係者の方からも同じようなご
意見を頂きました。良い先生もたくさんいらっしゃいますが、なかなか子供達の事を理解しない
先生も一部にいらっしゃるのが残念です。

 それと、聴覚障害者のご家族の方からもメールを頂きました。


 『映画の内容を聞き、とても複雑な思いです。藤懸さんはとても勇気のあるお母さんを
もって幸せですね。その気持ちをついで藤懸さんも勇気ある充実した人生を送っている
のかもしれませんね。
 私は直接そのような危機感をもったことはありませんが、遠い親戚に 聾唖の夫婦がい
て3人の立派な息子を育てていることと、韓国の親友の姪っ子が障害をもっていることだ
けでもとても色々な気持ちになりました』



 やはりそうですよね。「自分がこの立場だったら…」と思うと複雑な気持ちになる
 かもしれません。
 
 ある難病の方が、「あたしが将来、赤ちゃんを産んだら、やっぱり難病の子が生まれる
のかな?」と言っていたのを聞いた事があります。でも、「難病者の子」だからと言って難病児
が生まれるとは限りませんし、例えそういう子が生まれてきても、その子が「難病だから不幸」
という事にはならないと、私は思うな…。
 そんな事を踏まえつつ、話しを進めましょう!


 前回のメールのも書きました通り、筒井君と坂本君の講演会が5月19日に札幌市立幌北
(こうほく)小学校でありました!結果は大成功でした!!!
 この講演のタイトルが「私の大学生活−ノートテイク、手話、人との出会い」だったので、
みんなは「筒井君が大学のテイカーの事を話すのかな?」と思っていたら、彼は幼稚園の頃
からの人生を話していました。確かにそれも学生生活ですね!!彼の幼稚園の事を理解し
なければ、今の事なんかは理解出来ませんし…。でも、彼の根本的な考え方が分かって、良
かったと思います。

 彼の「自分が良い成績を取って、テイカーへの恩返しをしたい」という言葉には、いつも聞
いている言葉ではありますが、心に響きましたね。感激しました!そしてまた、「将来は、どん
な事でも構わないから法律に携わる仕事をしたい。それがテイカーへの恩返しであり、
私の使命」とハッキリ言ったのは、本当に驚きました。今までそんな言葉を私は聞いた事は無
かったから…。
 みんな筒井君の事は、本当に感激をしながら聞いていました。

 それと坂本君ですよ〜!坂本君は哲学的な話しに終始していましたね!とても良かったと思
います。ただ、テイカーの事は全く話そうとしませんでした。後で「なぜ?」と聞いたら、「自信
が無かったから…。まだ活動が1ヶ月だし…」。彼がアシスタント・リーダーとして、1ヶ月間頑
張ってくれた事を話して頂ければ、それで充分だったんだけれどな…。本当に彼は貴重な戦力
なので…。でも、それ以上に「人間関係とは?」という彼の話しは良かったですね…。
 「このテイカー制度は、筒井君と藤懸さんの関係だから出来たんだ!」と、強く言ってくれ
た時は「私もやっていて良かった…」と、つくづく思いました。


 時期は前後しますが、この講演会が行われた1週間前の5月10日に、北海道高等聾学校
見学会へ行きました。この北海道高等聾学校は、北海道で唯一の高等聾学校です。この広い
北海道で1校だけなのですよ!
 ですから、高等聾学校には学生寮があります。
 どういう事か分かりますか?もし「我が子を高等聾学校に入れたい」と思ったら、15歳で
「親子の別れ」を経験しなければならないのです。大変ですよね…。これって「子供の権利
条約」に違反していないとは言い切れないのですけれど…。
 ここの聾学校見学には、合計13人で行きました。もちろん、引率者は私。まるで小学校の 
先生だ!
 13人の見学者のうち、聾者は5人。みんな聾学校に通った経験がありません。上記のよ
うな理由や、普通学校に行って様々な事を勉強した上で将来を決めたいという理由から、高等
聾学校に通った事の無い聴覚障害学生はたくさんいます。実際、北海道高等聾学校でも、私
が5年前に見学した時より、少し学生数が減っていましたね。

 北海道高等聾学校には、ご自身が聾唖者である、丸山修先生がいます。この先生と お話
をする時間を作って欲しいと、私は聾学校にお願いしていたのですが、お願いが叶い、ざっくば
らんにお話をさせて頂く事が出来、みんな喜んでいました。特に、聴覚障害者たちはみんな、
「勇気になった。自信になった」とお話をしていました。丸山先生の頃は、ノートテイカーも無
く、そういった発想も無かったのだとか…。そんな中で先生は酪農学園大学を卒業し、会社員
を経て、今年から現在の教員の仕事をしているそうです。

 北海道高等聾学校は、かつては手話を禁止していた時代もありましたが、現在は先生が授
業中も手話を使う事もあれば、FM補聴器や口話を使う先生もいて、その聴覚障害学生に合
わせているのだとか…。手話を否定しない環境にあるそうです。
 でも実際には、手話を全く使わずに、「口話しか選択肢が無い」という授業もあるようです。
なぜなら、たくさんいる先生達の中で手話を使える先生は、ほんの一部ですから…。教頭先
も私に「本当は、教員みんなが手話を覚えてくれれば良いのだけれど…」と、溜め息混
じりにおっしゃっていたのが印象的でした。


 この北海道高等聾学校見学会と、筒井君と坂本君の講演会を通して感じた事は、「やはり、
みんな助け合って生きているのだな」という事です。筒井君や工藤君と私達の協力関係の中
で得られたものは、全ての人々にとって本当に大きかったと思います。
 筒井君はいつも「素晴らしい友人に巡り会えて、自分は幸せ」と言っていますが、私自身も
筒井君や工藤君に出会えて良かったと、心から思っています。

 最も、聴覚障害学生の中には「自分はテイカーも援助も無くても、充分やっていけられる」と
いう方がマレにいます。東京で弁護士をしている聴覚障害者の山田先生がそうです。
 私は実際に山田先生とお会いして「学生の頃、どのように勉強したのですか?」と尋ねた
経験があるのですが、「教科書を読めば分かった」との事…。あの難しい法律
関係の書物を読んだだけで理解出来る方なんて、そうはいません。そんな事が誰でも出来た
ら、「弁護士養成の資格学校」なんて物は要らなくなります。
 でも、ここで考えてみて欲しい事は、「山田先生は、筒井君や工藤君の
ような素晴らしい人間関係を築き上げる事が出来たのだろ
うか?」という事です。もしかしたら山田先生は、素晴らしい才能と引き換えに、筒井君や
工藤君が経験をした、「素晴らしい人間関係作り」が出来なかったのかもしれません。
 
 韓国で1989年に、映画から大ヒットした流行語で「幸せは成績順ではないで
しょう」というものがあります。まさにその通りではないでしょうか?
 幸せは成績順でもなければ、障害があるかどうかではないのです。私も難病を患い、筒
井君と同じような経験をした為、彼の事も理解できます。そして、お互いハンディが有ったから
こそ築けた人間関係や感動があったはずです。先日のプロ野球オールスターで、難病からの
「奇跡のカムバック」を果たした盛田投手のような感動だってあったはずです。
 
 私自身も医師から「もう無理」と言われながらも奇跡的に社会復帰した経験があるため、そ
の事は強く感じます。
 だからこそ、「あの人は、**だから不幸」という事は考えて欲しくないのです。
 冒頭でも紹介した、「生まれてくる子が難病だから不幸」という事も考えて欲しくないのです。
例え体が「健常者」であっても、家族関係に障害を持っていたり、不景気などの自分の力では
どうする事の出来ない「障害」を抱えている人は多いのです。そんな限られた自由の中で、人
間は幸せを見つけるのではないのでしょうか?そして、筒井君や工藤君の障害が、たまたま聴
覚障害だっただけではないのでしょうか?

 「幸せは成績順ではないでしょう」の「成績」という部分には様々な言葉が
入るのでは、と私は考えています。
 蛇足ではありますが、「幸せは成績順ではないでしょう」という言葉を韓国
で流行させた「イ・ミヨンさん」は、私の大学院の韓国人留学生の先輩です。イ・ミヨンさんの情
報を一応リンクしておきますね。こちらです。
(註 : 現在は、先方のHP閉鎖のため、リンクが終了しております。そのため、プロフィー
ルが掲載された関連サイトをリンクしておきますね。)

 この情報は平成12年9月8日に中央日報に掲載されたものを「オールコリア」が引用していま
す。イ・ミヨンさんは「結婚して、もっと強くなりました!」と書いていますが、実はこの2ヵ月後に
離婚してしまうのです…。残念ですね…。「幸せは結婚だけではないでしょう!!!」。頑張
れ!イ・ミヨンさん!!!


 さて、いつも通り写真をご紹介しましょう!まずは、5月10日の北海道高等聾学校の帰りの
写真です。前回同様、聾学校の学生さんのプライバシーを配慮して、校内での写真撮影は行
わなかった為、帰りにみんなで食事を取った時の写真となります。
 4つの大学の皆さんが、参加をしてくれましたよ!!


 まずひとつ目のテーブル。左の方は、今回初参加でした。右端は、アシスタント・リーダーの
坂本君です。




 そして、ふたつ目のテーブル。
 浅井学園大ノートテイカーさんも今年卒業だそうで、卒論に追われながらもボランティアを
頑張っています。本当に、いつもお疲れ様!! 




 左のテイカーさんは、ボランティアの中で一番多く講義を担当してくれています。「ビリヤード」
が大好きですよ〜




 この写真の学生さんは、今年卒業です。就職活動が大変だそうです。不景気だから、本当に
大変ですよね〜!





 こちらは、5月19日に幌北小学校で行われた講演会の模様です。
 講演中の筒井君坂本君です。







 右側に見える女性は、手話通訳者です。この日の講演は、2名の手話通訳者が交代で行っ
てくださいました。本当にお疲れ様です。

 これからも、皆様と一緒に活動をし、皆様と一緒に1歩1歩、確実に前へ進んでい
 きたいと思います。今後とも、宜しくお願いいたします。

                 札幌学院大学大学院法学研究科修士課程
                     藤懸久明(ふじかけ・ひさあき)より 



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