◆メール会報E 2001年9月26日
 
 学外及び学内のボランティアの皆様、支援者の皆様、こんにちは。札幌学院大学大学院法
学研究科の藤懸久明(ふじかけ・ひさあき)です。いかがお過ごしですか?
 本州でのこの「メール会報」をご覧の皆様は、恐らく運動会の練習風景を地域でご覧になりな
がら…、といった雰囲気なのでは?私達の住む北海道は、運動会を春におこなってしまう
で、もう「運動会」という言葉は聞かれませんね。

 さて、本学でも9月に入り、後期の講義も始まりました。聴覚障害学生やボランティア・メンバ
ー共々、後期も頑張ってまいりますので、ご声援を宜しくお願いいたします。
 大学の講義では、必ずと言って良いほどパソコンでレポートを書く事になります。そして学外
ボランティアの皆様には、パソコンを使ったボランティアをして頂いております。
 
 そこで一番怖いのは、今流行の「ニムダ」という、コンピューター・ウイルスですよね。なに
せ、HPを見ただけで感染してしまうそうです。マイクロソフト社によると、このウイルスを防ぐ為
には、今年の8月に作られた「インターネット・エクスプローラー5.5 サービスパック2」が必
要だそうです。このソフトは、マイクロソフト社から無料ダウンロードを出来ます。皆様は、もうお
済みでしたか?アドレスは、こちらです。(註:2007年現在、インターネット・エクスプローラ
ー7が最新版となっております。)


 このソフトをダウンロードする時、ISDNだと1時間かかります。このサイトの下に書かれてある
「ダウンロードの注意」を良く読んでから、ダウンロードをしてくださいね。
 パソコンは、ウイルスにやられてしまうと「ただの箱」になってしまい、ワードさえも使えなくなっ
てしまいます。パソコンは高価なので、是非ダウンロードをお薦めします。私のパソコンも、大
学院研究室のパソコンもダウンロードをしましたが、とても使い勝手が良くなりましたよ!!

 コンピューター・ウイルスやテロ、株価暴落など暗いニュースが続く中、ノートテイカー・ボラン
ティアの中には様々な「明るいニュース」が飛び込んでまいりました!!!
 まずは、昨年まで私達と一緒にノートテイカー・ボランティアをしていた卒業生の小野寺歩さ
が、ソルトレイクシティ・オリンピックの出場を決めました!!!やった〜!!彼女から
「オリンピックに出ます!」と絵葉書をもらった時は、飛び上がって喜んでしまいました!種目
はカーリングです。小野寺さんは、「シムソンズ」というチームでオリンピックに出ます。小野寺
さんは、こんな人です。about小野寺さん
 
 彼女は全日本が休みの時に、合間を縫ってボランティアに参加してくださっていました。本当
に忙しいスケジュールにもかかわらず頑張ってくださって、私も筒井君も感謝しています。ボラ
ンティアをするに於いても、「絶対にくじけない」彼女の姿勢は、私達も見習うものがありま
したね。そんな彼女だからこそ、オリンピック出場を決められたのでしょう。
 実は、オリンピックが始まるまで、もう時間が無いのですよね。
 この冬のオリンピックは、カーリングの小野寺歩さんに注目してくださいね!


 それだけで終わらないのは、私達の団体のスゴイところ!この夏にイタリアで行われた「世
界ろう者競技大会(デフリンピック)」において、「浅井学園3人娘」石井満里さん「金、
銀、銅」の全てのメダルを取りました!!!やった〜!「参加したい!」と言っていた交流会
を欠席してイタリアに行った甲斐があったね!!!
 以前、全日本聾唖連盟が公開していた、デフリンピックの解説とイタリアでの石井さんの写真
をこのホームページでもご覧頂けるようにしますね。
 こちらをご覧になってください。
 3枚とも、本当に嬉しそうな、活き活きとした表情が印象的ですよね。特に3枚目の写真は、メ
ダルを3つもぶらさげて「御満悦!」といった感じです!


 そして、ドレスメーカー学院に通う、聴覚障害学生の森恵子さんは校内のデザインコンクー
ルで、見事入賞しました!!!おめでとう〜!!!
 彼女はいつも、聞こえない事や彼女のつらい事の悩みを私に打ち明けていたので、私も彼女
の入賞には感慨の深いものがあります。彼女のデザインしたドレスは、12月2日の北広島
駅近くの文化ホールで発表される予定です。
 私はそんな彼女から、彼女のドレスを着てくれるモデル探しを依頼されました。モデルと言え
ば、皆さんはどんな事をイメージされるでしょうか?
 私は彼女のモデルを探すにあたって、単に「森さんの服を着る」ただのファッション・モデル
は、選びたくありませんでした。私は彼女の今での苦しみを知っていたので、
「森さんの服と一緒に、彼女の今までの苦しみや悲しみや喜
びや涙を一緒に着てあげられる人」
を選ぼうと決めました。単なる「モデルとデザイナーの関係」ではなく、
「発表会が終わってからも、森さんと末永く友人関係を持て
る人」、そして彼女が賞を取った事を本当に彼女と一緒に心
の底から喜んであげられる人を探した
のです。
 そんな森さんに、とってもふさわしいモデルを見つける事が出来ましたよ!その人は誰かと言
うと…。この事は、また後日発表する事にしましょう!!!


 こんな感じで、みんな本当に頑張ってくれています。もちろん、様々な「縁の下」となって、皆様
から見えない場所で頑張ってくれている方も大勢います。ノートテイカーの皆さんも、1人1人が
頑張ってくださっています。そして、浅井学園と酪農学園では、聴覚障害学生の念願だった
ノートテイカー組織が立ち上がりました。浅井学園も酪農学園も、聴覚障害学生が頑張っ
たからこそ立ち上がった組織です。彼らの努力無しではノートテイカー組織は立ち上がらな
かったでしょう。

 その中でも、浅井学園大学は、私が指揮する札幌学院大学ノートテイカー・ボランティアと方
法が似ていると思います。学生が無償のボランティアとして活動し、コーディネーターは田中耕
一郎先生とおっしゃる方が行っております。浅井学園も札幌学院大学も、この情報保障活動
が「学校をあげて」の活動ではないので、運営は他校に比べて大変なものがあります。
(註 : 現在、田中耕一郎先生は、浅井学園大学を退官されていらっしゃいます。)


 浅井学園の組織の立ち上げに関しては、浅井学園の聴覚障害学生のリーダーであるあやさ
の努力が大きかったと思います。彼女は以前のメール会報で紹介した通り、「自分の為に
隣りに座ってノートを取ってくれる友人がいる以上、テイカーを座らせる訳にはいかない」
と言っていましたが、聴覚障害を持つ後輩が増えた事からノートテイカー組織を立ち上げる事
を決めました。彼女は私にも色々と相談をしてくれましたが、結局私は何の力にも慣れなかっ
たな…。
 彼女は立ち上げの時の事をこのHPのBBSで、次のように書いてくれていました。



親友・・ゆうかへ。貴方と二人でいつも一緒に座って、貴方はノートを見せてくれたよね。
「あやがノートテイクつけることになると、(私とは一緒に座らずに、ノートテイカーと一緒
に座るから)遠くへ行った感じがして寂しくなるね」と言ってくれたこと。本当に嬉しかった
です。
 貴方が居たからここまで頑張れたし、単位も一杯取れたんだよ。他のみんなも、ゆうか
が居ない時「私がゆうかの代わりに隣に座るよ」って言いながら、ぎこちない手話とノート
を見せてくれました。本当に感謝しています。
 署名運動の時も「なんか私一人で急いで署名運動出来ない」と泣いてくれた(浅井学園
の)リーダーには、「そこまで私達のことを考えてくれてるんだな・・」って、こっちまで胸が
熱くなりました。だから「私は今まで講義を受けていて、苦しいと思ったことなどない。だっ
ていつも隣にはみんなが私に話し掛けて『今日は・・』と、早速ノート書いてくれたから。
んなのお陰で今の私が居るの。本当にありがとう。それぐらい感謝している」と言ったら、
みんなで泣いちゃったよね(笑)。だから、私は幸せ者だな・・と思っています。

 そして、ノートテイクの状況ですがパソコンで打って講義の内容を知らせてくれるパソコ
ン・テイカーも居ます。その中で、あまり手足を動かせない先輩がパソコン・テイカーとし
て私達の耳となってくれています。私と満里はその先輩の素晴らしさ、行動に本当に感
謝しています。障害者同士でも自分が出来ることをやってくれています。私もその中の一
人として、どんどんボランティアをして色々やりたいと思っています。「何が出来るか・・聞
こえない私に何が出来るか」それは聞こえない私しか出来ないボランティアが必ずある
はずですよね。

 障害者の素晴らしさを今、実感しています。それと・・これからの聞こえない子ども達が
どんな学校へ行っても講義保障を受けられるように・・そして夢が膨らんで聞こえない医
者とか出来るように・・。今、大人になった私達がやることは、将来の子ども達に関わる
大事な事だと思っています。長くメールしてごめんなさい。私も聞こえない子ども達の笑
顔や聴覚障害児を持つ親の為にも、せめて希望が持てるようなそんな大人になりたい
思います。

 聴覚障害児の子を持つ健聴者のお母さん達も悩みながら、そして一生懸命子どもを理
解しようとしています。きっと色々な苦労や色々な言われ方を世間から受けたと思いま
す。うちの母もそうでした。それでも子どもはスクスク育ちます。思春期になると必ず聞こ
えない事で悩んだり泣いたりするかもしれません。それも子どもの聞こえない宿命です
し、親もその時どうするか悩んだりすると思います。それでも、聞こえない子どもは親を
見て育ちます。親は聞こえない事よりも、子どものいいところを見て誉めて見守って下さ
い。たくさん泣いたり苦しんだりする時もあると思いますが、

 いつか子どもが大人になった時、「お母さん生んでくれてありがとう」と言う時が必ず来
ます。だから辛いでしょうが、頑張って下さい。私も生まれて聞こえなくて良かったです。
そして今の親から生まれて良かったと思っています。
 だから今度は精一杯、親孝行したいと思いますが・・まだまだわがまま言う部分もあっ
て、親に苦労かけちゃう時もあって・・成長できていません(笑)。でも「苦労してここまで
育ててくれて、ありがとう・・」と心の中に秘めています。



 彼女からは、同じような内容のメールを私宛にも頂きました。本当に胸が打たれましたね。
 彼女に言っている「聞こえない私しか出来ないボランティアが必ずあるはずですよね」
は、本当に良く分かります。私自身も、この企画運営が出来るのは、私が経験した難病との闘
病生活があったからだと思います。
 先日、聴覚障害学生である工藤君、筒井君と一緒にいる時、工藤君から「先輩は、学部の
頃の試験は全部合格だったの?」と聞かれました。私は「自分は難病で講義に参加出来
ない事が多かったので、単位はたくさん落とした。本当にたくさん…。だから、私は同じ様
に苦しんでいる筒井君の協力を始めたんだよ」と言うと、筒井君は顔を真っ赤にしながら
「有難うございます」と答えていました。筒井君の喜びは、私にとっても本当に嬉しく思いまし
たね。
 私も筒井君と同じ苦しみを味わった経験があるからこそ、出来るボランティアだったんだな、
と思っています。

 私は最近、難病連の子供達と会う事に喜びを感じています。子供達は「自分の将来は、どう
なるの?」と不安を感じているのですよね。でも、難病を克服して、奇跡的に社会復帰した私と
会う事で、「頑張っていれば、藤懸お兄ちゃんのようになれる!」と勇気に代えてくれるので
す。
 自分の子供が突然ハンディを持ち、その状況にパニックになる親はたくさんいますし、ハンデ
ィに苦しむ子供達もいます。その現状は変わらなくても、その現状に少しでも希望の光が差し
込めたら…、と考えています。これも、「私だから出来る事」なのかもしれません。



 さて、今回も私達の活動状況の写真を紹介したいと思います。

 酪農学園大学で6月24日に行われた、「聴導犬講演会」の時の写真です。
 皆様は聴導犬をご存知ですか?聴導犬とは「盲導犬の耳バージョン」です。

 現在聴導犬は、盲導犬、介助犬と共に「身体障害者補助犬」と言われ、政府も法的認知に動
き出しています。しかしながら、現在の日本の聴導犬育成方法は、「イギリス流」と「アメリカ流」
が混在しているのですよね…。その点はどの様に法的な対応をするのか…。恐らく政府も苦悩
している事でしょう。ちなみに、大阪で活躍する聴導犬は「イギリス流」で、東京で活躍する
聴導犬は「アメリカ流」です。私達は「アメリカ流」の方の講演を聞きました。
 イギリス流の聴導犬の団体のアドレスも紹介しますね。こちらです。

 アメリカ流か、イギリス流かで育て方も違いますが、ご覧の通りハーネスの色やデザインまで
も違うのですよね…。将来、混乱はしないのかな?


 聴覚障害学生も、熱心に質問していましたよ。右が私・藤懸久明です。




 次が、7月31日に「へんみ」で行われた合同交流会の模様です。





 左は、ドレスメーカー学院で入賞した森恵子さんです。森さん、入賞本当におめでとう!発表
会を楽しみにしているね!




 左からアシスタント・リーダーの坂本知加良君、今回初参加である帯広で聾学校の小学部の
先生をしている聴覚障害者の岩井真里子さん、そして札幌学院大学の難聴者である、高橋渉
教授です。岩井さんは私達の団体を本当に気に入ってくれて、わざわざ帯広から参加してく
ださったのですよ〜!




 パソコン部隊です〜。




 このHPの管理人で、パソコン通訳企画運営の山口君です。(註 : 山口君は、旧HPの管
理をしてくださっていました。現在の、このHPは、私・藤懸久明が管理をしています。)




 酪農大学のテイカーです。将来は獣医さんになるとか…。ちなみにこの日は、酪農学園のテ
イカー3人が「寮の門限に遅れると、『1週間、牛さんの乳絞り』のペナルティがあ
る!!!」と言って、早く帰ってしまいました。でも、こんな可愛い女の子達にお世話をしてもら
えるのなら、牛さんも大喜びでしょうね!(なんだか、北海道らしいな〜・笑)




 そして、へんみでの全体写真です。



 この様な皆さんと、この「メール会報」をご覧の皆様のご協力があってこそ、成り立っている講
義保障活動です。今後とも宜しくお願いいたします。また、本州でこの「メール会報」をご覧の学
外ボランティアの皆様、支援者の皆様が北海道にいらっしゃる事があれば、是非とも一声かけ
て頂ければと思います。
 皆様ともお会いできる日がありますように!

                 札幌学院大学大学院法学研究科修士課程
                     藤懸久明(ふじかけ・ひさあき)より



トップへ
トップへ
戻る
戻る