「OGFオリガンリレー小説〜ケ・セラ・セラ〜」 第34回更新分
宇宙色の風景に一筋、そしてまた一筋、恒星のように輝く光が走り続ける。
バシレウスは白い直方体の銃器を右脇に抱えるようにして持ち、その銃口をストラテーゴスに向けていた。白い直方体は数秒置きに光を吐き出してバシレウスにストラテーゴスを近づけない。
『ゼロ...なぜあなたがそんな兵器を持っているの?』
フェリオはバシレウスの持つ兵器の名を、インペリウムと覚えていた。それはあるオリガン世界におけるほぼ無敵の兵器のはずだ。そんなものを簡単に持ち出すことはできない――いや、オリガン世界の歴史自体に介入できるゼロたちならば容易なことだ、とフェリオは瞬時に納得する。
しかしバシレウスの持つあれが本物のインペリウムだとしたら、バシレウスは非常に恐ろしいモビルスーツだということになる。インペリウムは動力機関からのエネルギーをすべて変換して射出する兵器で、並のモビルスーツでは扱うことすらできないし、特別な動力機関を持ったモビルスーツでさえ一発、二発撃てるか、といったものである。だがバシレウスは数十発以上をさっきから撃ち続けて、それでもなおフェリオのストラテーゴスと同等に動き続けていた。
見た目は瓜二つであるバシレウスとストラテーゴスであるが、その中身は大きく違うようだった。
『姉さんはストラテーゴスで勝てると思っているのですか?』
再びインペリウムを射出した後、バシレウスはそれを捨てて両手にビームソードを握った。
そして白く輝くその機体は全速力で自らストラテーゴスに斬りかかる。
『連盟の兵を束ねる将軍が負けたからシャレになんないからねっ!』
フェリオのストラテーゴスはしっかりとその斬撃を受け止めた。
『兵士を統べるのは将軍でしょうが、将軍は王に仕えるものですよ。』
対してゼロは淡々と答える。口元にはわずかに笑みが浮かぶ。
バシレウスは斬りつけている右手と、さらに左手で下から斬り上げるようにして腕を動かした。だがストラテーゴスはその一瞬の動作の内に退いて間合いをとる。そして今度はストラテーゴスがバシレウスを斬りつけた。
しかしストラテーゴスのビームソードはバシレウスのボディ手前で停止する。前の闘いとは違い、フェリオの無意識の手加減ではなく、ビームソードは物理的に停止していた。それを止めたのは、非常に強力なアイフィールド、ゲルマニクスに搭載されているレベルのエネルギーフィールドを組み合わせたものだった。
『勝手に別の世界の技術を持ち出してまで』
フェリオが台詞を言い切る前にバシレウスの腕がその剣でストラテーゴスをはるか遠くへ払いのける。白いバシレウスはほとんど無防備に吹き飛ばされたストラテーゴスを追うこともなく、ただ冷酷に立つだけだった。体制を立て直したストラテーゴスもバシレウスとの非常に長い間合いを縮めようとはせず、ビームソードを構えるだけに留まった。
『例え...』
無言の時間をゼロは切り裂く。
その言葉が放たれた瞬間ストラテーゴスはフルスロットルでバシレウスへ突撃を繰り出した。依然動こうとしないバシレウス。加速を続けるストラテーゴス。ストラテーゴスの剣の切っ先がバシレウスに触れようとしたとき、光が一瞬、将軍と王の二騎を包んだ。
―――『例え姉さんが眼鏡をかけたとしても、将軍に王は殺せない、姉さんに僕は殺せない。姉さんは優しすぎるよ。』
剣の切っ先はやはり、バシレウスの胸前で静止していた。
***
フェリオが目を覚ますと、目の前には少し汚れた、けれども見慣れている天井が見えた。それは連盟本館の中にあるフェリオの自室の天井で、掃除する機会と方法を常に探っていたものだった。
「フェリオっ!」
すぐ横でリンの歓声が聞こえた。
「リン...あなたいつ戻ったの?アリスもいるの?」
リンの頭は横に振られ、嬉々とした表情はやがて落ち込み、目は伏せられた。
だがフェリオにはさらに質問を重ねるためにリンの後ろの男を見やった。長身で細い体つきで、連盟では見たことのない男である。
しかし、その男を見ていると誰かを思い出しそうになる――
「ねえ、リン、後ろの方は誰?それと」
――最近まで記憶の隅に追いやってきた人物、そしてその一部。
「アグゼはどこ?」