#20/30
『矢と散歩と趣向と』
「じい」
「ん?」
「……散歩行かない?」
「ん。いいぞ。ちとまっとれ」
「あれ、とーるさん」
「どうかしました?さらさん」
「桂さんと時子さん……お二人してお出かけみたいですよ?」
「みたいですね」
「あれぇ?あんまり興味ないんですか?」
「いや、そういう訳ではないんですけど」
「じゃあ、どうなさったんですか?」
「いや、さぁ、あんまり夫婦の間をばっさばっさきるのもどうかと思いまして」
「……ふふっ、そのほうがいいかもしれないですね」
「ですね」
-舞台は外へ。
「じいさー」
「ん?」
「私のこと好きー?」
「好きだが」
「どう好きー?」
「どうすきって言われても……」
「ねー、教えてよー」
「……こほん。あー」
「世界中の誰よりも時子が好きだ」
「ってだめか?」
「……くくっ。あはは」
「……む。なにがおかしい」
「じい、その言葉にあわなさすぎ」
「(ガーン)」
「……でも、気持ちは伝わったよ。嬉しかったし」
「……ん。ならいい」
「…………」
「…………」
「……ねぇ、じい……」
「ん?」
「私達……ずっとこのままでいられるかな……」
「いられるさ。ずっと」
-その時、ふと1本の矢が時子の横を過ぎる
「……こんな時まで……」
「……悪いか?」
「……悪いわよ」
「お爺様まで奪って……泥棒猫が……」
「じいからアタックしてきたんだからあんたには関係ないわ」
「(紫蘇までもそこまで爺扱いか……はぁ……)」
「覚悟はよろしくて?」
「……何でこんな時にまで狙われなきゃいけないのよ……」
「覚悟!」
「待て、紫蘇」
「お、お爺様!しかし今が仇のうち時な……」
「だから待てと言っておるだろう!」
「「(ビクッ)」」
「(じい……凄い形相……)」
「今、時子を狙うのなら私が相手するが」
「え、ちょ、ちょっと待ってくださいお爺様」
「何を……待つんだ?」
「(この形相なら攻めようにも攻めれないわね……)」
「……つ……す……。」
「……む?」
「不潔です、お爺様!孫に手を出して!!」
「(グサグサッ!)」
「お爺様はそういう趣向だったのですね!」
「(あーららー……えぐってるよ……うわ……)」
「……もういいです……今日は帰ります……」
「………」
「はぁ……お爺様が…………幻滅です」
「(ひどい言い方するわね……あの娘は)」
「じい、ありがと。」
「む……気にすることはない」
「……まさか、あーゆー攻め方で来るとは……」
「……気にするでない」
「……じい?」
「き………気にしてない」
「(あの娘に幻滅なんていわれたら祖父としての威厳なんて消えるわよねぇ……)」
「ねぇ、じい?」
「ん。」
「あんな事あってから聞くのもなんだけどね」
「……ん」
「私の事……ずっと好きでいてくれます?」
「……あたりまえだろうて」
「あ━━」
「……む。回答がまずかったか?」
「じい、嬉しい!」
(桂に抱きつく時子)
「……む。(実は照れてる)」
「ねぇ、じい?」
「む?」
「んっ……(目を閉じる)」
「………っ(時子の肩を掴む)」
(ちゅっ)
「………私、好きじゃない。」
「な、何?」
「………私、好きじゃなくて、大好き!」
「……そうだな。」
「お互いに大好き同士でね!」
「そうだな。」
「それにしてもさ、あの娘……相当酷い言い回しするわねぇ…」
「しょうがない……あの娘は私達のことを知らないのだからな」
「えへへー。まー知らなくてもいいんだけどね。」
「それはそうだな。」
「だって、さ!」
「私たちが幸せならそれでいいんだもん♪」
-FIN- |