25回構成です。

#06
『梟』
ぱさぱさと飛び行く梟。
それをみていた紫蘇。

「……む。何か用件でもありそうだな。」

梟と目が合う。
梟はただ何も喋らず、目で何かを訴えていた。

「……ふむ。君の言うのが正しかったら重要なことだが。」

梟は目で物事を訴えたのを終えたかのように
静かに去っていく。

「……おじいさまの家に……確認をしに行こう。」

そして紫蘇は出かけた。
秋乃も連れて2人で。

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(コンコン)
「夜分遅くにごめんください。紫蘇です」
「……む。紫蘇か……どうした。」
「おじいさま。すみませんが、少しだけでいいんです。お話ししたい事があります。」
(ガラガラ)
「……まぁいいだろう。この時間に来るというのは……多少重要な事なのだな。」
「はい。風の噂にしては妙なのでお伺いに……睡眠の所、すみませんが。」
「……む。立ち話もなんだ、少しばかり暗いが案内しよう。」

(スーッ)
「……少々待っていてくれ。お茶を出す」
「すみません。わざわざ気を使わせてしまいまして。」
「……まぁ、待て。」
「はい」

「お姉さま……あの梟さんは嘘はつかないですよ。」
「秋乃……それはそうだと信じたくないと私は思ってしまっているが……それでも……」
「はい……あの梟さん、嘘だけは絶対に言いません……私……わかります……」
「いや、秋乃の言う事はわかる。でも、おじいさまにもこれは伝えるべきだと思う」
「はい。そうですよ。あと、透さんにも……」
「透だって寝ているだろう……この時間帯では……」
(スーッ)
「……起きてるが」
「と、透……」
「あっ、透さんこんばんわ」
「どうもこんばんわ、紫蘇さんに秋乃さん。……そして何か重要な話みたいですね」
「まぁ、そうなのだが……おじいさまが着たら話します」
「もういるが」
「「!」」
「じいちゃんは早いなぁ、こういうときばっかりは」
「透。余計な一言だそれは。」

「で、まぁ。そんなに焦るな、紫蘇」
「……は、はい……」
「そのお茶を飲みきるまでは外には出ないぞ、わし達は。」
「……はい。」
「よし。落ち着いてこその紫蘇だ。話してみろ」
「あのですね。おじいさま。これは野生の梟が秋乃に話した事なのですが。」
「ふむ。申してみろ」

「父様がまだ他の動物に意思を残していらっしゃるのです。」
「な、なに!」
「え」
「これは秋乃が野生の梟から話を聞き、どの動物にとりついているかも分かっています」
「ふむ……それは一大事じゃな。」
「なんで……あの暗闇でいなくなったと思ったのに…」
「私もそれは疑った、透。だがこれは事実なのだ。」
「……すぐに出かける準備をします。」
「透、2分で支度しろ」
「はい」

「紫蘇、秋乃。案内してくれ」
「わかりました。」

「って……我が家の裏の樹?」
「いえ、この樹の下の苔です。」
「は?」
「こ、苔?」
「はい。苔にとりついております。」

「……これまたずいぶんと小さいな……楸よ」
「…ワレ……楸ノイシノノコリ……」
「父様……どうしてこんなのにとりついたんですか……!もっと大きな生物に……!」
「いや、そういう問題じゃないでしょう、紫蘇さん」
「ワレ……コケニサレタ……」

(一瞬にして場が凍る)

「……寒いです……」
「……紫蘇……踏んで構わぬか」
「じいちゃん、俺も踏みたい。」
「……父様……なんて事を……」
「寒イ……コノ生物……」
「自分で言って自滅してるし……」
「……お姉さま。踏んでください。」
「わしも踏み潰したいのだが……1つしかないからな。」

「父様……さようなら……寒すぎです!」
(ぐしゃ)

「アリガトウ……コレデモウ迷イハ無イ……」

ふとその苔は
さらに艶々とした碧の色をした普通の苔に戻っていた。

「……寝るか」
「おじいさま……私たち、本日泊まります」
「その方がいいじゃろう。」
「……俺もうねるから……」
「おやすみなさい、透さん」
「おやすみ、透」
「あぁ。紫蘇さんに秋乃さん、おやすみなさい」

そして翌朝には
その苔ですら存在していなかったのように

いつもの木隠家の庭の光景になっていた。
-FIN

原作者様:水月とーこさん
このSSの執筆者:小松聖