25回構成です。 #16〜#18までの3つは続き物です

#18
『そして夜も更け…』

「おねえさまっ」
「……秋乃か。どうした」
「今日は七夕ですよっ」
「……わかっている。」
「短冊に願い事は書かないんですか?」
「……書く事が少ないのだ」
「あれ、こんなところに短冊がっ」
「ま、待て!」
「えっと……『透との間に子供がほしい』」
「……あ……あぁ……」
「お姉様……」
「いや、そんな目で見るな!」
「えっと後の一枚は……」
「……はぁ……って、それが一番駄目!」

「『お父さんにもう一度会いたい』」
「……しまった……書くんじゃなかった……」
「……大丈夫ですよっ。秋乃も書きましたから。それは」
「あ、秋乃も?」
「はいっ」
「…む。ならば私が願いを叶えられるかもしれない」

「!」
「!!」

「おじいさまぁっ!」
「む。秋乃に紫蘇……元気か」
「お爺様……昨日も会いましたのに……」
「これは俗に言うボケですよ、お姉様」
「お爺様……手遅れですね」
「……その短冊透に見せていいか?」
「あ、それだけはやめてください(汗」

「ったく……着て早々老人扱いをするとはな……ショックだな」
「お爺様、すいません」
「まぁ、落ち着いてくださいまし。」

「それにしてもお爺様、願いが叶うって……どういう……」
「今夜は満月じゃ。夜中に魔よけの鈴を鳴らせば、何。5分ぐらいは会えるじゃろうて。で…」
「でも……お爺様……でも……」

「で、でも!うちには魔よけの鈴なんてものはありません!」
「あ、秋乃……」
「……だから持ってきたんじゃろうて。話しは最後までしっかり聞かないとな。」

「ここに立つんですか。」
「その右足から3寸……そこじゃ。」
「ここで鈴を……」

「ゆっくり、鳴り響くように鳴らすのじゃ。そして会いたいという気持ちを胸に託す。」
「はい……」

(りーん……)

(りりーん……)



「きたのぅ……」



「…き…、し…」
「……え?」
「秋乃…紫蘇…」
「お父様!」
「……木隠達と……仲良く……末永く……」
「分かりました、お父様!」

「……成長したな……紫蘇、秋乃……」
「……え」
「……白……」
「お、お父様?」
「…………」

「では……な。」
「え、お父様……」
「秋乃……猫股も可愛かったよ」
「え」



(りりーん……)

(りーん……)



「……どうじゃった。」
「もう、父への思いは忘れません」
「そうですね。私もお姉様と同意見です。」

「む。わかった。」

「……」
「お姉様?」
「お父様……白って……はぁ」
「……ある意味……変わってなかったと言えば……ですよね。」
「はぁ……」



「……楸もあいかわらずじゃのぅ……」

とぼとぼと自宅に帰る桂の姿、その背後には華麗なる満月が夜の闇を照らしていた。
-FIN

原作者様:水月とーこさん
このSSの執筆者:小松聖