脛骨単独骨折および脛腓両骨骨折
特徴

1  脛骨単独骨折より脛腓両骨骨折が多い
2  多くの骨折は脛骨中・下1/3境界部に起こる(脛骨が骨折すると腓骨もこれに伴い骨折する)
3  開放性骨折となりやすい、骨癒合がしにくく、反張下腿など変形を残す


発生機序
直達外力による骨折


交通事故、高所より墜落、重量物の落下などにより発生
骨折線 : 横骨折またはそれに近い斜骨折
        両骨骨折 ; 骨折部位がほとんど同高位
        屈側に楔状骨片、粉砕骨折、重複骨折の場合もある


介達外力による骨折

スポーツ時の転倒や、足部を固定したまま体幹の捻転、足部の捻転強制
骨折線 : ゆるい傾斜の斜骨折(屈折力が働く)、螺旋状骨折(捻転力が働く)


転位

定型的骨折 : 中央部より遠位の骨折
骨折線 : 前内方から後上方へ向う
骨片転位 : 近位骨片 ; 前内方に位置
         遠位骨片 ; 後外上方に転位
  近位骨折端が皮膚を穿通して開放性骨折
  遠位骨折端は後上方の筋を穿通し、深部動静脈や、脛骨神経損傷
  近位の骨折では遠位骨片が前方に転位
  直達外力による骨折では骨片転位は外力作用の方向によって異なる
  骨折部内方凸屈曲転位をして、前方凹の反張下腿型屈曲が多い
小児骨折の場合 : 厚い骨膜で覆われているため、殆ど骨片転位はなく、脛骨の単独骨膜下骨折を生じることが多い


症状

定型的骨折の場合
  骨折症状 : 比較的容易に判定できる
  機能障害 : 起立・歩行不能
  腫脹 : 強く、高度なものは皮膚が緊張して光沢を帯び、水疱を形成することもある
小児の場合 : 腫脹少ない
          変形・異常可動性 ; 認められない
          限局性圧痛、歩行困難 ; 単なる打撲と判断してはならない
直達外力 : 開放性骨折多く、出血や骨片の露出もまれではない
介達外力 : 骨折端に皮膚が穿通し、開放性骨折となることもある


後遺症

骨折部変形治癒 : 反張下腿、外・内反下腿、短縮転位
関節拘縮 : 尖足位拘縮が多い
遷延治癒および偽関節 : 脛骨骨折中・下1/3境界部骨折の癒合の遅れ
その他の後遺症 : 筋萎縮、慢性浮腫、静脈瘤


整復法

膝関節屈曲位で助手に下腿近位端部を固定させ、術者は足関節部とともに遠位骨片を強く長軸方向に牽引する。これによって長軸転位を除去し、近位骨片を外後方に、遠位骨片を内前方に向って直圧を加える(側方転位の除去)
横骨折では、整復困難の場合は十分に注意を払いながら屈曲整復法を試みる
斜骨折や螺旋状骨折で、整復に成功しても整復位を維持することが困難なものは牽引療法と固定法を併用する
牽引療法は膝関節約30度位でBraun架台に乗せ、絆創膏またはスピードトラック、弾性包帯を骨折部を越えた中枢部から貼布して、持続牽引を行う
牽引期間3〜5週間。続いて大腿中央部より中足部まで固定包帯を施す。固定期間は8〜10週間。中・下1/3境界部では12週間を要することがある
転位の代なるもの、軟部組織損傷大あるもの、無血整復不能のもの、および複雑骨折では、観血療法、鋼線直達牽引法が望ましい


固定法

金属副子で大腿後面中央部よりMP関節部まで、膝関節軽度屈曲位、足関節軽度屈曲(底屈)位で固定する
骨折部および骨隆起部(腓骨頭、踵骨隆起など)には、綿花あるいはフェルトを十分に当て、骨折部内側面、外側面の、呉氏副子または簾・厚紙副子を当て、巻軸包帯を巻く。特に急性期には包帯を締め過ぎないように注意する。腫脹消退後、水硬性キャスト材などによる装具固定を行う


後療法

早期より下肢の同時性収縮運動を指導励行させ漸次症状経過に従った手技・物理療法を行う。
装具固定後は松葉杖による免荷歩行、下腿の同時性収縮運動を積極的に行う。漸次症状経過に合わせて、徒手的または持続他動運動(CPM、 continuos passive motion)での足・膝関節可動域訓練を開始する。
その後、松葉杖での部分負荷歩行、足・膝関節の等張性運動へと進め、骨癒合完了後固定装具を除去し全体重負荷歩行、足・膝関節への抵抗運動を開始し機能の回復を図る


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