| 〜 COLUMN 〜 | |||||||
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| PROBLEM | |
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地方競馬が大きな危機に瀕している。 すでに益田競馬、高崎競馬、宇都宮競馬などが廃止され、さらにホッカイドウ競馬も巨額の赤字を抱え、存続が危ぶまれている。 地方競馬の存続問題を通して、競馬界の抱える諸問題を提起したい。 |
| CRISIS |
残念ながらホッカイドウ競馬は、廃止の方向で検討すべき問題だろう。 馬産地のため云々というが、巨額の赤字を出しながら存続させることは、むしろ馬産地を含めた北海道経済全体に重大な悪影響を与えかねない。 そもそも毎年巨額の赤字を出し続けているということ自体で、ホッカイドウ競馬が地元道民からも不要な物として扱われていることが理解できる。 利用者、地元道民不在で、ただ馬産の観点からのみ存続が討議されるホッカイドウ競馬は、続けたところで競馬興行として成り立ちはしまい。 遅かれ早かれ、これが廃止されることになるのは避けられないことだろう。 そもそも毎年数億円の赤字を出すなら、その金を直接生産者に補助金として支給した方がよっぽどいいのではないだろうか。 長期的・現実的にいって、道営存続はむしろ馬産地のためにならない。 もともと公営競馬は究極的に畜産振興のための物ではない。 畜産振興を掲げたとしても、それは競馬法との絡みで建前として掲げているにすぎない。 公営競馬の存在目的は、それぞれの地方自治体の財源確保でしかないのだ。 馬産を行っていない東京都が畜産振興を歌い上げたところでなんの説得力があるというのか。 実際に公営競馬を持つ都道府県で、本格的に馬産を行っているのは北海道(道営競馬)と千葉県(船橋競馬)くらいなものではないか。 建前であるはずの畜産振興が本音になってしまったところに道営の悲劇がある。 だが道営の存続問題は、本来は馬産地にさほど影響を与えはしない問題のはずである。 なぜなら道営は問題の本質ではないからだ。 問題の本質、それは馬が売れないということの方にある。 |
| REAL PROBLEM |
生産界の慢性的不況。これをカバーする一端を道営競馬が担うこととなり、道内生産馬の受け口の一つになってきた。だが、それももう限界に到達したといえる。 平成初期にはすでにその兆候が現れていた生産界の不振は、回復することなく今に至っている。不振の原因はいくつかあるとされているが、問題は生産界側の無為無策ぶりにもある。 その一つに余剰生産問題がある。 現実に年間1000頭以上もの馬が買い手がつかずに、一度も走ることなく食肉市場へと送られている。年間100頭ではない、1000頭である。 仔馬が生まれてその馬を売りに出すまで2年間、一頭につきおよそ500万円の経費がかかるという。1年で250万円。年間1000頭を無駄に処分しているのだから250X1000で25億円。 馬産地全体で年間25億もの巨費を無駄に浪費している計算になる。 この事実を考えればある程度の生産縮小〜生産牧場の淘汰も、受け入れなければならない現実なのではないだろうか。 もちろん淘汰だけで問題の解決が図れるわけではない。 馬産地安定にもっとも必要なもの、市場の拡大を同時になさなければならない。 なすべき根本的対策は市場の拡大である。 それなくして馬産地の安定などあり得ない。 不景気で馬が売れない?だが不景気だけの問題ではあるまい。 生産者はいつまで、一部の金持ちだけを相手にした商売だけでやっていけると思っているのだろうか。 不景気で馬が売れない?だが今後景気はさらに悪くなる可能性だってある。 そもそも相手としている一部の金持ちが財布の紐を締めたとき、彼らはいったいどうするつもりなのか。買い手を自ら限定しているのだから、売れなくなる危険性が高いのは当然である。 では具体的にどのような拡大が考えられるのか。 マーケットを海外に広げる? 日本馬の海外売却。だが現実にオセアニア勢などと競合したとき対抗できるのだろうか。 競走能力が同程度だったとしても、値段は日本馬の1/3〜半額程度。 これでは世界中どこに売り込みに行ったところで勝負になるまい。 そもそもつけられているアドバンテージは値段だけではない。 なによりも欧米には公平に馬を買えるマーケットがある。多彩なセリ市があり、多彩な血統をもつサラブレッドが、馴致はおろか競走の調教までしっかり積まれた状態で売り出されたりする。 国際競争力という点でいうなら日本の馬産は競争力ゼロである。 それでもサンデーサイレンス、フサイチペガサスなど、海外からバイヤーが買い付けにくるような世界的名馬も一部ではあるが存在している。 こうした資産を前面に押し出す方向、つまり稀少性などの付加価値による高級志向で、価格差をないものとしてしまう戦略位しかいまのところ取りようがないだろう。 ただし高級志向でいくなら、値段に見合った競走能力を世界に見せる必要がある。 結局プレミアムな種牡馬がいるといっても、すべて輸入種牡馬である。 自国で生産される馬でこうした世界的評価を得られるようにならない限り、長期に渡り生産で外国勢と張り合うのは不可能だといえるだろう。なぜなら、高水準の種牡馬輸入を常時続けていかなければならない導入コストは、そのまま種付け価格〜産駒価格の上昇に反映される。他国と広がり続ける価格差は、そのまま競争力のさらなる低下を意味する。 おまけに種牡馬の供給がストップされればそれまでである。 現実には、日本生産馬のトップレベルは欧米のレースでも十分勝負になるレベルにすでに到達している。だが、そもそも外にでていかないケースが目立つ。これでは高級志向も成立し得ない。 将来的にはともかく、短期的に海外への市場拡大を計るのは現実的選択とは言い難い。 結局市場は、日本国内において広げるしかないのだ。 |
| MARKET EXPANSION |
日本には公平に馬が買えるマーケットそのものがほとんどなかった。 近年、社台ファームが開催しているセレクトセールなどで、ようやくまともな市場が育ちつつあるといった状態だ。 しかし、相変わらず多くの素質馬が庭先取り引きされているのが日本の現実で、これがマーケットの閉塞を生み出している。 この状況は生産者が自ら調教師と結託した結果、こうなっている。 つまり、調教師は素質馬を優先的に手に入れたい、生産者は少しでも高く生産馬を売りたい。 そこで、調教師は馬主にできるだけ馬を高く買わせようとする。 その見返りとして生産者は翌年もその調教師に優先的に素質馬をまわす。 バカげたことに生産者は自ら市場を閉ざしているのだ。 結局、誰もが公平に馬を買えるマーケットは育たず、一部調教師と一部生産者のみが利潤を得る。これを今なお続けているのが日本の生産者達である。 もちろん生産者側にも言い分はあるだろう、そうしたくてやっているわけではないのだ、と。 調教師に強要されて庭先取引せざるを得ない、というケースも確かにあるようで、厩舎制度を楯に取った一部調教師の横暴は目に余るものがある。 しかし、だからといってこのまままともなマーケットもないままで、馬産の安定が図れるのだろうか。 馬が売れない?マーケットがないんだから売れなくて当然である。 馬産の建て直しには公平なマーケットの創設が絶対の最低条件となる。 馬を買いたい人に公平なチャンスを与えられる、機会平等こそが市場拡大への最初の一歩となる。 さて、マーケットができたと仮定したら、次に、誰に買ってもらうのかという問題がでてくる。 ある程度の金持ちは、すでにあらかた馬主になっている。 どこに新しい需要を見いだすのか。 たとえば、南米などでは自動車を買う感覚で競走馬のオーナーになることができるという。 現在だいたい日本国内での車一台の値段としては、150〜200万円位の価格帯が一般的だろうか、自家用車くらい大勢の人が持っている。つまりこのくらいの価格なら、新しい購入層が発掘できる可能性がある。 もちろん一頭150〜200万円という超低価格の馬がそういるわけではないし、その価格では競走能力もたかがしれているだろう。 だいたい"並"程度の競走馬一頭の値段としては、800〜1500万円位が最多価格帯か。 もちろんこの値段では車1台の値段とはかけ離れてしまう。しかし、なにも1人で競走馬一頭を持つ必要もない。同じように車1台程度の値段なら出せる人が複数集まり出費する。 つまり会員制馬主クラブだ。 個人馬主が期待できないのなら、複数の人間でその役割を果たしてもらう。 要は馬が売れればいいわけだし、新たに安定した買い手層が一つ発掘できるのなら、それは充分に市場の成長要因になりうるはずだ。 かつて吉田照哉氏がこういっていたという、「際立った金持ちもいないこの国で、しかも一般大衆に支えられている日本の競馬にとって、会員制馬主クラブはとても自然なシステムだと思う。」と。 会員制馬主制度・共同馬主制度の拡大・充実により、会員増加(競走馬購入者増加)をはかり、国内市場を活性化、安定成長させる。 実際、これが最も現実的なプランであろう。 ただし障害も多い。 最大の問題はランニングコストにある。 厩舎委託料が月80万円。年間で960万円。異常な金額といわざるを得ない。 JRAの馬主規定の定める最低年収は2000万円。 最低ラインの馬主の場合、年収の半分もの金額を調教師に支払わなくてはならない。 馬一頭を預かるのに、育成で15〜25万の預託料、公営南関東で30万前後といわれている、なぜ中央になったとたんに80万に跳ね上がるのか。そもそも中央では厩務員の給料はJRA持ちなので、調教師に雇用コストは一切かかってないのだ。明らかに厩舎制度を悪用するかたちで、暴利が横行している。 厩舎委託料の引き下げは、競馬界全体の未来に関わる問題である。 また、権利、待遇面においても改善をおこない魅力ある制度にし、クラブ会員増加をはからなければならないが、これにも障害がある。 たとえば一口馬主クラブの会員は、競馬場の馬主席などには入れない。 その他にも出資馬が勝利しても表彰式などには出席できない、など規制がある。 この規制が緩和されかけた際、これに反対し、廃案に追い込んだのは日本馬主協会などの馬主組織である。 クラブ会員などの一般人が馬主席に出入りすることが気にくわないらしい(言葉遣いは遠回しだったがマジでそういう理由で反対していた)。 JRAが本気で生産界のことを考えるのなら、こんなバカげた反対理由に対して反応する必要など無いはずだが、しかし結局改正策は廃案となった。 JRAは生産界、競馬界の抱える様々な問題に対して、どのようにすれば問題が解決するのか明らかにわかっている。 生産の安定のために種牡馬事業を展開し、その種牡馬を利用した生産馬に対してセリでの売却を義務づけるなどして、生産者の保護、市場育成を図ってきたし、前述の厩舎制度もメリットシステムを中心にした新制度へと改善しようとしていた。 そもそも会員制馬主制度の改正案も、問題の根本をわかっているからこそ改正しようとしていたわけだ。 ところがJRAは誰かに反対されると、とたんにトーンダウンし、相手の言いなりに自分の主張を取り下げてしまうのだ。結局、厩舎制度の改革も調教師らの反対運動にあっけなく妥協し、骨抜き改革でお茶を濁すこととなった。 役人上がりゆえの体質なのか。しかし競馬界のリーダーがそんなことでは困るどころの話ではない。 今こそJRAの強いリーダーシップが求められる。 新たなニーズを生みだし市場拡大を果たさない限り、日本の生産界、ひいては競馬界に未来はないのだから。 |
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